就職塾を頼った“無い内定”女子大生の悲劇。会費50万円がムダに…
頑張れば、頑張るほどお金がかかる仕組み
高額な費用を払って、就職塾ではどのようなことをするのでしょうか。
「毎回、大手企業の内定者や社員が話に来てくれました。業界や企業の特徴、選考スケジュールや内容も教えてくれました。エントリーシートを書いて添削してもらい、模擬面接をするんです。必要にあわせて筆記試験の対策もしました」
かなり具体的な対策で充実した内容のようですが、葉子さんによると、エントリーシートの添削や模擬面接などは回数が決まっており、上限を超えると追加で3000円ほどの別料金がかかるとのことでした。
「マスコミのエントリーシートは内容が複雑だからという理由で、別料金を払ったり、一度添削してもらったエントリーシートを書き直して見てもらうのにも追加料金がかかりました。やればやるほどお金がかかるんです」
葉子さんは「この3000円で内定が決まるかもしれない」と自分に言い聞かせて、かなりの金額を追加で払ったそうです。
就職塾で自分の軸がブレはじめる
後悔しているのは、お金だけの面ではないようです。
「塾が内定実績を作るためなのか、とにかく大手企業・有名企業ばかり受けさせようとするんです。塾に講義に来るのも大手企業の内定者や社員ばかり。今思えば馬鹿馬鹿しいですけど、同時は『すごい』『うらやましい』という目で大手企業の社員の話に陶酔していきました」
結果、「大手企業に内定するのがゴール」「より有名な企業に内定した人が勝ち」という価値観がクラスに蔓延。
大学で海外教育の研究をしていたこともあり、就活を始めた当初は教育に関わる仕事がしたいと考えていた葉子さん。しかし、就職塾に入ってからは周囲に勧められるがまま、全く関係のない大手企業やマスコミを受けさせられていたそうです。
志望した企業が全滅して目が覚めた
一向に内定が出ず、塾でも取り残されてしまい、実家のある九州に帰ろうと、東京での就職をあきらめます。そんな時、大学に説明会に来ていた現在勤めているIT会社に出合います。
「今まで企業の情報はすべて就職塾を通して得ていたので、大学に来ている会社説明会にもろくに参加していなかったんです。ITを使った教育事業を展開しているという話を聞いて、興味を持ちました」
説明にきていた社員が、教育業界、こどもの未来について熱く語る姿に感銘をうけた葉子さん。それまで名前も聞いたことがなかった会社に興味を持ち、自ら調べて入社試験を受ける決意をします。