部下への指示が「あれ、やっといて」で許されるコンサル業界の謎
まだある理不尽な文化「Day1からパフォーム」
理不尽と映りがちな文化の2つ目は、「Day1からパフォーム」です。「パフォーム」とは、言い換えると「プロジェクトへの貢献」です。つまり、プロジェクトの配属1日目から、何かしらの貢献が求められます。
筆者が最初のプロジェクトに配属されたときの例を紹介します。
初日なので、概要資料の読み込みや説明を受けて終わるのかと思っていましたが、早速、朝から工場長を含めた納期、費用削減に関するヒアリングの場に出席し、午後には会議の内容を反映したパワーポイントの資料を作っていました。
依頼された仕事の成果と納期が期待値を下回っている場合は、他のメンバーと同じように指摘を受けます。
もちろん、任された仕事がクライアントに出せるレベルに達するため、そして早く成長してもらうために必要なことですが、その徹底的な指摘ぶりにショックを受ける人が多いのも事実です。
とりあえず部下を詰める上司がいる
3つ目はコンサルの名物ともいえる文化ですが、とりあえず”詰める”上司がいます。
「それはなぜ、どうして」「説明がよくわからない」「パワーポイント操作が遅い」などはまだ良いほうで、成果物が期待値に達していない怒りからか、大声で怒鳴る、机を殴るなどもたまに見かけます。
昔、筆者の先輩から聞いた話では、「上司が怒鳴りすぎてクライアント会議室から追い出された」「ワイシャツが破けた」「メガネが破損した」というような事態まであったそうです。話だけ聞くと、もはや、何の会社かわからない時代があったようですが、昨今は時代の流れと共に減っているように思います。
ただ、人は詰めないと伸びないと思っている人も業界内には多数いるのが現状です。これは、成果物であるクライアントへの提案内容の質を上げるために必要な側面もありますが、やはり過剰な場合もあります。特に、部下を使い倒すことで出世したタイプは「詰めれば何かいいものが出るでしょ」と思っているかのごとく詰めます。
このタイプは、自身で地道なリサーチ、分析や示唆出しをした期間が短かったため、深い知見が溜まっておらず、実は大して中身があることを言っていない場合も多いので、詰められる側としても困ってしまいます。
確かに、筆者の経験則上も、クライアントから高い報酬をいただいている以上、質をギリギリまで上げるために、鼓舞する・必死に対応してもらう必要があり、詰めることの重要性を否定はできない場合はあります。ただし、他の業界と比較するとやはり過剰と映るため、理不尽と感じてしまうことでしょう。
会社説明会だけではわからない「独自の文化」
別の外資コンサルティングファームを卒業した知人によると、最初のプロジェクトでは「昨日の自分からどう成長しているか教えて」と毎日上司から質問され、何が変わったか具体例を挙げさせられたそうです。
新卒入社の方は、比較的すんなりとこの文化を受け入れるようですが、中途入社の場合は最初の会社と比較してしまうので特に驚かれることでしょう。
今回はコンサルティング業界で理不尽と映りがちな文化・習慣の例を紹介しました。その他にも独特の文化が存在します。
会社説明会だけでなく、知人・先輩などに直接話を聞いて、自分に合っている文化なのかを見極めることが重要です。
<取材・文/KT Total A&C firm>