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音楽エリート一家で育った25歳ピン芸人「歌ネタは半信半疑でした」

暮らし

ネタを路線変更する葛藤

――辞めたはずの音楽を再開することになったのですね。

パーマ大佐:「歌ネタ」をやるにしても、ピアノは辛い時期を思い出すから嫌だな、ギターもベースもすでに有名な芸人さんがいるよな、そう思ったときに見つけたのがウクレレです。

 弦が4本と少ないし、できるかもって。ライブの2週間前から独学で習得しました。そうしたら「歌ネタ」が、ライブで一番ウケたんです。

――路線変更をすることに葛藤や抵抗はありませんでしたか?

パーマ大佐:当時は仕事がなくてとにかく必死だったので、そうも言っていられませんでしたね(笑)。お客さんが求めてくれるものがあるならそれを全力でやろうって。歌ネタをやり始めたころに太田プロの歌ネタライブがあったんですが、客席の反応に手応えがあったんです。

 それで社員の方に、この路線イケるよ! って言ってもらえて太田プロにお世話になることに。その2か月後、「森のくまさん」のネタができ、テレビにも出させていただけました。

歌ネタは最初、半信半疑でした

パーマ大佐

――歌ネタを始めてから、ブレイクまであっという間だったんですね! この方向性いけるよと言われたときは、どのような心境でしたか?

パーマ大佐:正直、「これでいいの?」って半信半疑でした。「森のくまさん」のネタを見ていただければわかると思うんですけど、笑いのポイントってサビの一回しかないんですよ。これまでやってきたしゃべくりのネタと比べて、ボケの数も少ないし、ただ音楽を演奏しているような感覚。始めは「これが?」ってピンと来ないままネタをやっていたかもしれません(笑)。

パーマ大佐:今思うと、僕がやりたかったしゃべくり漫才は、多くの偉大な先輩がいるし、昔やっていたフリップネタも、バカリズムさんがいる。僕が今やっている歌ネタとコミックソングの間のようなネタって、やっている人が少なかったことが注目いただけた要因だったんだなと思っています。

――「好き」と「強み」を区別されたんですね。同世代の若者に声をかけるとしたら?

パーマ大佐:自分の適性なんて、もしかしたら自力ではわからないのかも知れない。誰かが、「いいね」って言ってくれたことを、思い切って取り組んでみたことで、意外な自分の特性に気づけました。僕は就職はしたことがないですが、これっていろんな仕事にもいえることのような気がしているんです。

 しんどいこともたくさんあると思うけど、目の前の仕事を、「もっとうまくやる方法はないか」「もっと楽しめる方法はないか?」って取り組んでみてほしいですね。嫌々やるのと、前向きに取り組むのは、身につく量も違うはずですし。そうしたら僕みたいに、意外なところで道が拓けることもあるんじゃないかなと思います。

<取材・文/井澤梓 撮影/鈴木大喜>

インタビュー後編<25歳のネット世代芸人が考える、売れるお笑い「漫才は伝統芸能になる」>に続く。

金融機関、人材系ベンチャーを経てライターに。ビジネス系インタビューから体当たり体験レポートまで多様なジャンルで執筆中。株式会社カタル代表

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