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20代社会人のための交渉術。しつこい要求を「はっきり断ってはいけない」

学び

交渉したことに勝手になってくれることも

 本音が見えると話が収束していきます。実は条件で少しだけ合わなかったりしたときには、条件を譲歩してもらったりもして、勝手に交渉を進めていたような状況になることもあります。

 交渉という局面においては、撤退できることが最強の交渉力になります。その意味で、撤退の疑似的な姿勢である「ふにゃふにゃして煮え切らない態度」が時に相手には撤退して逃げていくようなイメージを抱かせて、結果的に焦らせることになります。

 アジアの市場などで値切り交渉をしている時に、「じゃあ止めよう」と言って帰ろうとしたら急に値引きを切り出してくるような経験をしたことがある人もいるかもしれません。

ふにゃふにゃ断ると深刻な迷惑になってしまう人も

ビジネスマン

 常に有効というわけではないですが、何かを断らなければならない時に、時間と心に余裕がある時にはやってみても良い断り方です。デメリットとしては、お互い様のシーンもありますが、最終的には相手の時間を浪費させてしまっていることがあります。

 そうした観点から、相手が個人でやっているような独立事業者であった場合には、端的に結論と理由を伝えるほうがいいでしょう。会社員とは異なって、時間を浪費させてしまうことは深刻なレベルで迷惑になってしまうからです。

 もうひとつのデメリットとしては、相手に自分が煮え切らない他人をイラつかせる人だと思われることがあります。

 でも、そんなことは気にしなければいいことですし、それ以上にメリットが大きいことのほうが多いでしょう。みなさんも一度お試しください。

<TEXT/出口知史>

ぬいぐるみの進化版でもあり、小学生に大人気のスクイーズのトップブランドであるiBloom(アイブルーム)を製造販売する、株式会社ブルーム代表取締役社長。東京大学大学院工学系研究科修了後、コーポレイトディレクション、ダイヤモンド社を経て、産業再生機構など3社の投資ファンドにおいて、投資先企業の経営者として複数の会社を連続で再生・成長へと導く。約20年連続で悪化していた老舗企業や5年連続赤字で債務超過に陥った老舗企業などを復活させた。現職では成長から飛躍に取り組む。著書に『困った人の説得術』(日本経済新聞出版社)など

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