人手不足の日本で勝つ会社は?BREXAが挑む人材育成モデル

人手不足が深刻化する日本社会で、企業はどう人材を確保し、育てていくのか。そんな中、国内外で12万人以上の人材を抱えるアウトソーシンググループが、新ブランド「BREXA(ブレクサ)」として再始動しました。社名変更だけにとどまらない、“次の一手”とは?
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「すべての“はたらく”に境界をなくす」──BREXAの理念とは

「BREXA」という名称には、「Break(境界を壊す)」「Expand(可能性を広げる)」「Ability(能力)」という3つの言葉が込められています。代表取締役社長の山﨑高之氏は、「日本社会には“はたらく”ことに多くの境界が存在している」と指摘。スキル不足により希望職種に就けない若年層、即戦力ばかりを求める企業、そして高齢化による産業の人材枯渇など、多くの問題が複雑に絡み合っている現状に警鐘を鳴らします。
こうした課題に対し、BREXAは人材一人ひとりの可能性を広げ、キャリア形成の障壁を取り除いていくことで、新しい選択肢を提供するといいます。
世界37カ国に展開する人材ネットワーク

BREXAグループは、2025年現在37カ国に進出し、各地域の労働市場に密着した人材サービスを展開。オランダ、アイルランド、インド、インドネシア、オーストラリアなどに現地法人を持ち、物流、IT、製造など多様な分野で即戦力人材を送り出しています。
日本国内でも約6万人の従業員を抱えており、うち約3万人が製造、約3万人が技術系分野で活躍中。さらに、毎年2,600人の新卒、6,000人の未経験者を採用し、全国20拠点の研修施設と450以上の研修コンテンツを活用しながら、即戦力へと育成していく体制を整えているとのことです。
2025年7月には、福岡県大牟田市に「半導体研修センター」を開設。今後は北海道にも拠点を拡充する予定で、先端分野への対応力も高めていく計画です。
海外人材の受け入れと支援に注力
BREXAのもう一つの大きな強みが、海外からの人材受け入れ体制です。なかでもインドネシアでは、日本語教育やビジネスマナーを教える訓練学校を11校運営し、毎年約2,500人の人材を日本に送り出しています。来日後も、生活支援や定期的な面談、キャリアサポートを行っており、高い定着率を誇ります。
こうした成功事例を他国にも広げ、2030年までに年間1万人規模の受け入れ体制を目指しているとのことです。
“キャリアの入口から出口まで”を支える
BREXAの人材戦略は、単なるマッチングや派遣にとどまらず、新卒や未経験者を受け入れ、育成し、企業で活躍した後のキャリア選択肢までをサポート。
たとえば、経験を積んだエンジニアがフリーランスとして独立したい場合、BREXAがエージェントとして仕事を紹介する体制も整えています。また、クライアント企業からの直接雇用の申し出にも柔軟に対応し、本人の意向を最優先にマッチングを行います。
「入って終わり」ではなく、「育てて送り出し、必要に応じてつなぎ直す」という、循環型のキャリア支援モデルが同社の強みといえるでしょう。
社会課題の解決にもつながる人材プラットフォーム
経済産業省や厚生労働省の調査によれば、2030年には日本の労働人口が約700万人減少すると見込まれています。特にIT分野では約80万人、介護分野では2040年に約57万人が不足するとのことです。こうした状況下で、BREXAのような育成・マッチング一体型のプラットフォームの重要性はますます高まっていくでしょう。
「スキルが足りない」「希望する仕事に就けない」と感じている若手ビジネスパーソンにとっても、BREXAの取り組みは多くの示唆を与えてくれます。未経験から専門スキルを習得し、自らの可能性を広げていく仕組みが整っていることは、キャリア選択の視野を広げるヒントにもなるでしょう。
また、「人材不足」の現場で求められるのは、単なるマンパワーではなく“育成の仕組み”そのものです。自社においても、長期的視点での人材戦略を考えるうえで、BREXAのモデルは参考になるはずです。
「すべての『はたらく』に境界をなくし、より多くの人に、より多くの可能性を」──その理念のもと、BREXAが挑戦する人材戦略は、個人と企業、そして社会全体の未来をつなぐ架け橋となるかもしれません。