リモートワーカーは要注意!イヤホン長時間使用が招く恐怖の“耳トラブル”とは?

「え、これってイヤホンのせい?」
リモート会議や通勤中、つけっぱなしのイヤホン。その“当たり前”が、知らないうちに耳を痛めているかもしれません。特に夏は耳トラブルが増える季節。放っておくと仕事にも影響する“耳の落とし穴”と、今すぐできる対策を専門医に聞きました。
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長時間イヤホン使用で「外耳炎」や「耳カビ」のリスクが4倍に

NTTソノリティが開催した「オープンイヤーと耳の不快に関するラウンドテーブル」に登壇した、そらいろ耳鼻咽喉科センター北駅前院院長で耳鼻咽喉科医の内尾紀彦先生によると、夏場には、外耳炎や「耳カビ」(外耳道真菌症)といった耳のトラブルが急増する傾向があるといいます。その原因のひとつが、密閉型イヤホンの長時間利用。特に1日5時間以上使用する人は、使用時間が短い人と比べて耳トラブルを抱えるリスクが約4倍にまで跳ね上がるそうです。
高温多湿の夏場は、汗や水分で耳の中が蒸れやすく、皮膚のバリア機能が低下することで菌が繁殖しやすくなります。また、プールや海水浴で耳に水が入ったままにしておくと、雑菌が繁殖しやすくなるため要注意です。
かゆみや痛みの初期サインを放置すると悪化の恐れも
外耳炎や耳カビの主な症状は「かゆみ」「痛み」「耳が詰まったような感じ」「聞こえにくさ」など。特にかゆみは繰り返し発症しやすく、薬を用いた治療を行わなければ慢性化する可能性があります。
悪化すると中耳や内耳まで炎症が及び、聴力の低下や「悪性外耳道炎」など重篤な病気に発展する恐れもあるため、軽視は禁物です。
実は多くの人が“耳の不快感”を我慢している
NTTソノリティが実施した調査では、約87%の人が夏でもイヤホンを使用しており、半数以上が1日1時間以上の使用を習慣化していることが明らかになりました。中でも10代では5時間以上使用する人が少なくありません。
しかし、イヤホン使用時に「ムズムズする」「かゆい」「雑菌が気になる」などの不快を感じている人が43.2%にものぼる一方で、その約半数(54.6%)が「我慢している」と回答。耳のケアを行っている人はわずか11%という実態も明らかになりました。
自分の耳の状態を知る「セルフチェックシート」も登場

こうした背景を受け、内尾先生監修の「耳の不快指数セルフチェックシート」が公開されています。15項目の質問に答えることで、自分の耳の状態が5段階に分類され、対策の必要性が一目でわかる仕組みです。

<チェック数とチャート詳細>
0~1:非常に良好。理想的な耳のコンディション。
2~4:耳の中に軽い湿気やムズムズ感などを感じたことがある。外耳炎の前段階にあたるリスクあり。
5~8:耳の中のムレ感・違和感を自覚している。既に耳のバリア機能が弱まりかけているサイン。放置すれば炎症や感染の進行可能性あり。
9~12:耳の中がムレてかゆい、違和感が続く、イヤホンが当たると痛いなど、不快が継続している状態。すでに軽度の外耳炎や皮膚炎の可能性あり。具体的な対処が必要。
13~15:痛みや強いかゆみ、耳垢の異常、分泌液など、明らかに異常な症状が複数該当。外耳炎・湿疹・真菌症などを既に発症している可能性あり。すみやかに耳鼻科を受診すること。
気になる人はチェックして、対処法も参考にしてみてください。
今日からできる!耳のセルフケア3か条
耳の健康を守るために、内尾先生は次の3つのケアを提案しています。
① 耳を清潔かつ乾燥した状態に保つ
汗をかいた後や入浴後は、清潔なタオルで耳の入り口や耳介(じかい)をやさしく拭き取りましょう。冷風のドライヤーを30cmほど離して短時間当てるのも有効です。ただし、綿棒で奥の水分を取ろうとすると、かえって耳を傷つけるリスクがあるため控えましょう。
② 耳掃除はやりすぎ厳禁
耳には本来自浄作用があり、過度な耳かきは皮膚を傷つけ外耳炎を招く原因に。月に1〜2回、耳の入り口周辺を優しく拭う程度で十分です。
③ イヤホンのケア
夏はイヤホンのケアも重要です。また、外耳道をふさいでしまうと耳ムレや耳カビのリスクがあるので、高温多湿を避けるために長時間使用もしないようにしましょう。
耳をふさがないオープンイヤー型のイヤホンは通気性が良く蒸れにくいので、外耳炎の予防ができると考えられます。NTTソノリティの音響ブランド「nwm(ヌーム)」が開発した“耳をふさがない”オープンイヤー型イヤホン「耳スピ」などを選ぶのもおすすめ。耳の健康を損なうことなく、快適に音を楽しむことができます。
イヤホンとの上手な付き合い方を意識しよう
リモート会議や移動中の音楽視聴など、イヤホンはビジネスパーソンにとって欠かせないアイテムです。しかし、便利さの裏に潜む“耳のトラブル”は、放置すれば重篤化のリスクも伴います。
耳の不快感は「気のせい」で済まさず、日々のケアと適切なイヤホン選びで予防することが大切です。快適なリモートワーク環境を整える一歩として、耳の健康にも目を向けてみてはいかがでしょうか。