東南アジアの発酵大国に挑む「日本の味噌」マルコメ現地法人社長に聞く“勝算”
日本でもガパオやカオマンガイなどを通じて浸透してきたタイ料理。エスニックな味が癖になりますが、それに欠かせないのがナンプラー(魚醤)やガピ(海老味噌)などの調味料です。
また味噌のような「タオチオ」という調味料もあります。ソース程度の水分濃度で、大豆がの形がそのまま残っていて、空心菜炒めなどに使われます。
発酵食品が多い国・タイ
このように発酵食品がタイにはいろいろあります。その中には、魚を米と塩とニンニクとで魚を乳酸発酵させた「プラーソム」という物があります。
これが日本に伝わり、「なれ寿司」として広まったという説があります。なれ寿司は魚と塩、米を発酵させた保存食で、これが進化して現代の握り寿司になりました。
米と共に発酵が進み一体化しています。しかし、米は食べずに発酵に使うだけなので、米の部分は少ない点が、なれ寿司とは違います。また、タイでは生ではなく揚げて食べます。ほどよい酸味が効いていて美味しいです。
お味噌のマルコメが海外に店舗を
そんな日本と同じく発酵食品大国であるタイで、マルコメ株式会社の子会社である味噌の専門店「蔵乃屋」が昨年12月にオープン。同店舗の海外初進出になります。
実はマルコメの味噌、すでに1980年代から輸出業者を通じてタイで販売されていました。しかし、当時はまだ味噌を含めた日本食と日本食材は一般のタイ人にとっては異質な物。駐在員とその家族がメイン客層の日本食レストランや日本食材店ぐらいしかニーズはありませんでした。
ところが、2000年代に入り現地経営の日本食レストラン「OISHI」などを皮切りに日本食が急速に浸透。2022年にJETRO(日本貿易振興機構)が行った調査ではタイ全土で53250店もの日本食レストランがあるということです。そんな中、マルコメ・タイランド社が2013年に設立。