“ピエール瀧騒動”でリスク発覚も…急成長する「音楽ストリーミング配信」市場を分析
国内音楽市場が、久々に盛りあがっています。CDやDVDを含む2018年市場規模全体では前年比5%増の3048億円と、2015年以来3年ぶりにプラス成長を遂げました。
復活の立役者は、前年比13%増の「配信ジャンル」で645億円。なかでもAmazon Musicに代表される月額1000円程度で使い放題のサブスク(サブスクリプション)型ストリーミング配信が急伸。
前年比33%増の349億円(音楽市場全体の11%)に成長しました。
「所有しない」視聴方法にはリスクも
2018年11月14日には、従来広告モデルだったYouTubeがサブスク型の「YouTube Music」を投入。迎え撃つAmazonは11月15日に3か月間限定、3ケ月99円で聴き放題の「Amazon Music Unlimited」キャンペーンを実施しました(本来は月額980円)。
一方、今年3月12日に電気グルーヴのピエール瀧が逮捕されたのを受け、こういった「所有しない」視聴方法ではある日、突然、楽曲を楽しめなくなるリスクも浮き彫りになりました。少なくともこの10年間にドラッグ保持などのスキャンダルを起こした日本人アーティストに関しては「事件」以前の作品は提供されていないようです。
その危機感なのかどうか、2018年音楽市場におけるストリーミングシェアが75%に達した米国に比べると、日本は「所有」ニーズが根強いともいえます。逆に、ストリーミング浸透という土壌があったから顕在化したリスクという捉え方もできます。
急成長とともに激戦を予感させる国内音楽市場の行方はいずこへ? 株式会社ヴァリューズが提供する国内スマホユーザー行動ログから、主要サブスク音楽ストリーミングアプリの利用動向を追ってみます。
鳴り物入りのYouTube、ユーザー数で圧倒Amazon
直近2年間、文字通りトップを独走するのは、動画配信サービスでも圧倒的な強さを見せつけた「Amazon Music」。
ちょうど1年前の2018年3月には300万ユーザーを獲得し、直近数か月は500万人に迫る勢いで、2位「LINE MUSIC」に1.6倍の差をつけました。とはいえLINE MUSICと「Spotify」も「Amazon Music」に及ばないものの、やはり右肩上がりで、ストリーミング市場全体の勢いが感じられます。
広告モデルの代表格Google傘下のYouTubeは、鳴り物入りで2018年11月14日に「YouTube Music」でサブスク市場へ参入。いきなり170万人程度のユーザーを獲得したものの、トップ3サービスを追い抜くほどではありません。もっとも利用が多かった12月でも200万人強と、同時期70万人ほどユーザーを増やしたAmazon Musicの半分以下にとどまりました。
主要サービスのなかで唯一勢いがイマイチなのは、先行なのにあっさりYouTube Musicに抜かれたApple Musicです。でも、20-30万人程度のユーザーが大きく減ることもなく、安定的なファンは囲い込んでいるのかもしれません。