社長と対立し、20代で独立した元社畜の逆転劇。成功の秘訣は…
スタートアップ系のベンチャー企業では、個人の裁量権が大きいというメリットもありますが、その代わり残業が見込みになっているようなところも多く、労働時間がブラック的になってしまいがちなデメリットもあるようです。
今回はそんなスタートアップベンチャーで、「個の力」を最大限に活かして苦境を乗り越えた男性のエピソード。
小林義弘さん(仮名・25歳)は法政大学を卒業後、自分の力を試すべくあえてスタートアップ企業への就職を決意したといいます。そこで受けたベンチャーならではの洗礼と、その乗り越え方とは何だったのでしょう。
スタートアップでバリバリ働くも…過重労働でお疲れ気味
「僕が入社したのは、マーケティング系のスタートアップ企業。社員は15人ほどで、プロ野球球団も所有する大手IT企業出身の社長が立ち上げたばかりのベンチャー企業でした。
経営学部を卒業し、自分の知識を活かせたり、自分を試せる職場を求めて、このベンチャー企業に就職しました。社員仲はよく、1年ほどは本当に楽しく働きました」
社員数の少ないスタートアップ企業では、会社の理念が浸透しやすく、社員みんなが同じ方向を向いてがんばれるような、少人数だからこそのメリットがありますね。
「2年目になると、より自分の裁量でこなす仕事が増えました。ただ、そこで案件数の多い大手企業をクライアントにしており、仕事が重なると夜も眠れず仕事をするような時もありました。あまりに過重労働であることと、案件が完全に僕の裁量で動かすものばかりだったので、『リモートワークやフレックスな働き方がしたい』と提案しました」
できたばかりの企業だとフレックスなどの制度が整っていないことも多く、社員に合わせて制度を作っていくような雰囲気があるところも多いですが……。
大手企業出身の社長にリモートワークを反対されて…
「社長は大手ITで体育会系に働いてきた人で、リモートワークの推進にあまり積極的ではありませんでした。結局“リモートをマネジメントできる人がいない”という理由で、僕の申し出は却下されました」
毎日お風呂に入れない、仮眠しようにも会社に布団がない、仕事はPCさえあればできる。そんな状況下で小林さんのなかには「リモートさえさせてくれれば、もう少し人間的な生活ができるのに」と、だんだんと会社に対して、もやもやした鬱憤が溜まっていきます。
スタートアップには、もうひとつのデメリットとして「経営層との働き方のマインドの差」というものもあるそうです。つまり社長となるような世代の30代たちは、IT企業でも体育会系な大手出身が多く、「自由な働き方を求めてスタートアップに就職したい若者と、働き方の考えに差が生まれることも多い」と言います。
「何か月もワーカホリックな生活が続き、僕は会社を辞めることを決意しました。同僚や社員はいい人ばかりでしたが、どうしても働き方について社長の考えが僕には合いませんでした。中途社員の後輩も入ってきたところで、僕は会社に退職届を出しました」