歯の健康をサッカーで守る?Jリーグ5クラブが挑む「オーラルケアプロジェクト」とは

食事や睡眠、運動など、日頃健康に気をつけているという人でも、歯や口の中のケアは後回しになりがちなのではないだろうか。そんな歯の健康維持のために歯科医院に行くことを習慣づけようと、メディカルテック事業のSCOグループでは「オーラルケアプロジェクト」を推進している。このたび、同プロジェクトにヴィッセル神戸、湘南ベルマーレ、名古屋グランパス、北海道コンサドーレ札幌、FC町田ゼルビアの5クラブが新たに参画することになり、7月17日、都内で合同記者発表会が開かれた。
約4人に1人が「5年以上歯科医院に行っていない」

SCOグループの全国調査によると、約4人に1人が「5年以上歯科医院に行っていない」と回答し、定期的な歯科受診の定着が課題であることが明らかになっている。
また、歯科メインテナンスは、2〜3カ月に一度の定期受診が望ましいとされる中、過去半年以内に歯科を受診した人の割合は全体で43.1%にとどまるというデータが。若年層における受診率の低さは顕著で、20代は60代と比べて約20ポイントも低い結果が出ているという。
SCOグループ取締役社長兼代表執行役員COOの藤本公浩氏は、「口腔内の健康が全身疾患の予防につながる」と話し、歯周病予防の大切さを訴える。同グループでは、受付・診療・患者様への連絡など多くの業務を限られた人数でこなす歯科医院の現場に、無理なく導入できる次世代型AIプラットフォーム「Pay Light X」を提供。地域に根付くJクラブとの連携で、地域の健康を守っていくプロジェクトを推進している。
Jリーグクラブと協業で「オーラルケアクリニック」を開院
同プロジェクトは、2024年にスタートし、「テクノロジーで『105年活きる』を創造する」というビジョンのもと、スポーツの持つ力を通じて健康と豊かな人生への貢献や歯科メインテナンスの普及を目指してきた。
発足当初はアビスパ福岡、鹿島アントラーズ、セレッソ大阪、モンテディオ山形が協業していたが、今回新たにJリーグ5クラブが加わることで、スポーツ界と医療界の連携がさらに深化することが期待されている。すでに、鹿島とC大阪では「オーラルケアクリニック」を開院(セレッソは8月1日)し、着々と協業を進めている。
地域の方々の健康寿命を延ばすことに寄与

新たにプロジェクトに加わった、楽天ヴィッセル神戸株式会社の千布勇気社長は、「口腔ケアや予防歯科の分野で取り組めるのはうれしい。地域の方々の健康寿命を延ばすことに寄与したい」と話す。

株式会社湘南ベルマーレの坂本紘司社長は、「我々が手を付けられなかった歯の健康という分野に、地域の方々と30年活動してきた知見を生かしたい」と宣言。

株式会社名古屋グランパスエイトの清水克洋社長は「オーラルケアや予防検診、治療といった行為の大切さをグランパスファミリーに届けることに大きな意義を感じている。街一番のクラブをモットーに、クラブや選手とともにさまざまな情報発信をしていきたい」と述べた。

株式会社コンサドーレの石水創社長は「サッカーを通じて、オーラルケアで健康寿命を延ばすことは、コンサドーレのパーパス『赤黒の輪で、北海道の夢をつなぐ』にも通ずる部分があり、ひいてはJリーグの理念にも通ずるものがある」と語った。

株式会社ゼルビアの上田武蔵CCOは「歯科予防の重要性を再確認した。ホームタウン町田の健康促進のため、医療という専門領域の部分はまだ手を付けられていなかった部分なので、今回を機に素晴らしい取り組みにしていきたい」と発言。
SCOグループは今後もプロジェクトを通じて、歯科の知識や予防医療の重要性を広める活動や、スポーツクラブとの協業による新たな地域社会への健康啓発を積極的に推進していく姿勢を強調していた。
(写真・文/佐藤アケミ)