「3年間離職率ゼロ」を実現!ランクアップが大切にする“人が辞めない会社”のつくり方

新卒社員の約3~4割が3年以内に辞める――そんな「魔の3年」ともいわれる時代に、3年間離職率ゼロを達成している企業があります。オリジナル化粧品ブランド「マナラ」で知られる株式会社ランクアップです。同社がなぜこれほど社員のエンゲージメントを高め、離職を防げているのか。その理由を、2025年4月に実施された入社式を通してご紹介します。
“人が辞めない職場”の仕掛けとは?

ランクアップの入社式は、単なるセレモニーではありません。社員の「働きやすさ」をリアルに体験できる場として設計されています。例えば、入社式当日に実施された「部署ランチ」では、会社がランチ代を支給し、上司や先輩社員とカジュアルに交流できる場が設けられています。これにより、新入社員は堅苦しい上下関係ではなく、フラットなコミュニケーション文化を肌で感じることができます。
また、同社が重視しているのは“将来を見据えた働きやすさ”です。入社式後には「社内プチ育児体験」が行われ、子連れ出勤OKの職場風土や育児支援制度を実感できるプログラムが用意されています。新入社員が未就学児のお世話を体験することで、「将来子育てをしながら働く自分」のイメージを具体的に持つことができます。
このように、同社は職場の雰囲気や制度を“体験”を通して理解してもらう工夫を凝らしています。人間関係の土壌づくりを重視し、その仕組みが自然と定着しているのが特徴です。
働く人の心と体を支える、充実の福利厚生

ランクアップでは、社員が安心して働けるよう、福利厚生の内容も徹底的に工夫されています。例えば、就業時間内にプロの足ツボマッサージを受けることができるほか、ジム手当も支給されています。社員の健康を“業務の一部”として捉えている点がユニークです。
さらに、子育て世代に向けた支援も充実しています。病児ベビーシッター制度の導入や子連れ出勤の容認に加え、男性社員も含めた「育児体験制度」など、性別やライフステージに関係なく安心して働ける制度が整えられています。
このように「心身の健康」「人間関係」「将来への安心感」といった多方面からのケアがあることで、社員の定着率は自然と高まり、結果として離職ゼロにつながっているのです。
社長・社員の言葉に見る“人を育てる文化”

入社式では、岩崎裕美子社長が新入社員に向けて「研修してもらえることに感謝する心を持ってほしい」と語りかけました。これは、“教える側の努力”や“育てるという文化”を尊重する風土が根付いていることの表れです。
また、日髙由紀子副社長からは「失敗しても大丈夫」「落ち込むこともあるけれど、点と点がつながって線になる」といった温かな言葉が贈られていました。こうした言葉が自然と交わされる職場だからこそ、新入社員も安心してチャレンジすることができるのでしょう。
今年入社した社員は、「結婚した後でもキャリアを積みたいと長い将来を見ていたので、そういう面でも考えられている会社だと思いました」と語っています。
離職ゼロは偶然ではない、“人を大事にする”仕組みの結晶
ランクアップの「3年間離職率ゼロ」は、ただの数字ではなく、社員一人ひとりに向き合う姿勢、制度、そして文化がすべて連動し、結果として離職を防ぐ組織づくりができているのです。
企業が“人を辞めさせない”ためには、人事制度や福利厚生を整えるだけでは不十分です。「安心して働ける」「この会社で人生を築いていける」と社員が思える風土こそが、最も重要な資産なのかもしれません。