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大人には「ゆる友」がおすすめ!サードプレイス啓蒙家が教える心地よい友だちづくりへのヒント

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大人には「ゆる友」がおすすめ!サードプレイス啓蒙家が教える心地よい友だちづくりへのヒント
『大人のゆる友活 ちょうどいいつながりが人生を豊かにする』 潮凪洋介著 集英社クリエイティブ 1,760円(税込)

ライフワークとしてブックレビューを長年執筆する経済ジャーナリストが、話題の本を紹介。今回は、 作家でサードプレイス啓蒙家の潮凪洋介氏の著書『大人のゆる友活 ちょうどいいつながりが人生を豊かにする』 (集英社クリエイティブ)です。

大人にとっての「友だち」とは?

大人になってからの友だちづくりはなかなか難しい。何も考えず無邪気に関係性を作れた子ども時代とは違って、それぞれが置かれている立場や社会的地位、環境が異なり、経済力にも差があるためである。本書は、そうした違いを乗り越えながら大人が友だちをゆるく作っていくことを「ゆる友活(ともかつ)」と名付け、さまざまなヒントを紹介している。

大人にとっての友だちとは何か。本書はその定義から出発する。著者は「職場や家庭以外で、プライベートの時間を一緒に過ごしたい相手」と示し、そうした相手とどう距離感を保ち、互いに尊重しあう関係になるかが重要だと指摘する。

ゆるくつながる「ゆる友」のすすめ

著者が記すように、友だちづきあいについて、年を取ると時間がなかったり、関わりたくない、今さら恥ずかしいと思ったりするのは、筆者を含めあてはまる人もいるだろう。そんな中、友だちになることをゴールとしないで、ゆるくつながる「ゆる友」をつくり、ほどよい距離感と思いやりと尊敬の気持ちを持つという著者の考え方には大いに共感できる。さらに、すべてをわかりあおうとはしない、近づきすぎない、というのも有効な対処法である。

自分にとって心地よい「サードプレイス」である友だちを持つ重要性の指摘も示唆に富む。家でも会社でもない第三の居場所で、ありのままの自分で生きるための助けになってくれる存在を見つけることが心の安定を保ち、元気を取り戻すのに役立つ点は多くの人が感じていることだろう。

「ゆる友」の見つけ方

では、そうした存在を見つけるにはどうすればよいのか。著者は4つのタイプ別に助言する。

詳細は本書を参照していただきたいが、人づきあい自体が苦手な人は、自分はどうしたいか知り、まずはいつもの行動を変えることから始めることや(Aタイプ)、人が離れていくタイプの人は自分の言葉や態度を振り返る必要があること(Bタイプ)、出会いがない人は思い切って新しい環境に飛び込むこと(Cタイプ)、人との距離感がつかめない人はどこまで相手につきあうかという基準を自分の中に持つことが大切(Dタイプ)ーーとそれぞれのタイプ別に対処法を紹介する。

Bタイプについては、自分が知らず知らずに相手を不快にしていないか、チェックするポイントが具体的に記されており、自らを顧みるにあたって有用なアドバイスとなっている。さらに、相手との距離感については、「ゆる友活」は短時間に限定して楽しく過ごすことや、気分の乗らない誘いを上手に断るコツなども示す。

本書が記すように、人とのつながりは孤独や不安を解消するために重要だが、時に難しい場面に直面して悩む人もいる。本書にはそうした人に向けた有益なアドバイスが詰まっており、読むと心を軽くしてくれる。そばに置いておきたい一冊である。

『大人のゆる友活 ちょうどいいつながりが人生を豊かにする』 潮凪洋介著 集英社クリエイティブ 1,760円(税込)

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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