情報過多な時代のデジタルツール整理術。一流の仕事人に学ぶ無駄を省く方法
この春から働き始めた若いビジネスパーソンの皆さん、「スマホ」の電話帳やパソコンのトップ画面がそろそろ、乱雑になってきているタイミングではないだろうか。
自分のパソコン画面をパッと見られた時に、いろいろなデータのショートカットが散乱していると「整理できない人」との印象を周りからもたれかねない。
当然ながら、自分自身の業務にもロスが生じる。受け取ったはずの大事な資料やデータをどこかに埋もれさせてしまう恐れもあるはずだ。
そこで今回は、株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)さんに、フレッシュなビジネスパーソン向けの整理術(デジタル編)を語ってもらった。
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甲州さんは、メンバー間や会社間の橋渡しを行ったり、プロジェクト全体のマネジメントを担ったり、込み入った問題を交通整理したりする一流の仕事人だ。
〈DX時代の最強PMOになる方法〉(ビジネス教育出版社)を出版した著者でもある。当然、業務で使うデジタルツールの整理にも、シンプルかつ効果的な方法論を確立している。
若手ビジネスパーソンは、関連記事と併せて読んで、身の回りの整理に生かしてもらいたい(以下、甲州潤さんの寄稿)
余計な情報を入れない・見ない
前回は、かばんの中身など物理的な場所の整理術をお届けしました。今回は、その後編、デジタルツールの整理術をお伝えしていきます。まずは、スマホのトップ画面や、スマホ内の電話帳の話題から。
ビジネスでスマートフォンを使用している場合、アプリがどんどん増えてしまって……という方も多いと思います。
ビジネス専用であろうが、ビジネスとプライベートの兼用であろうが、スマートフォン本体のトップ画面の整理術では「要らないアプリを削除する」「インストールしない」をまず徹底しましょう。
例えば、私のスマートフォンのホーム画面には、厳選したアプリだけをセットしてあります。
デフォルトでホーム画面にある「カメラ」や「設定」といったアプリは、使用頻度が個人的に少ないので、他のページに移して目に入らないようにしています。
最近使っていないアプリは定期的に削除し、6-8個のアプリしかホーム画面には基本的に置いていません。
アプリに関連した整理術でいうと、モード切り替え機能も意識して活用しています。
スマートフォンには、モード切り替え機能があります。お客さまの職場で仕事するケースが多い私の場合は、スクリーン画面を「ビジネスモード」にして、プライベートで使うアプリのアイコンなどを省いたシンプルな表示に切り替えています。
さらに、オフィス内など特定エリアに入った時には、LINEの通知が来ないようにする(特定の条件で設定が切り替わるようにする)など「余計な情報を入れない」「見ない」ように心掛けています。業務に集中できる上に、パフォーマンスを上げられるからです。
スマートフォンの電話帳も意識しないと乱雑になってしまいがちです。
特に、放っておくと「名刺をもらった時」に乱雑になってしまいがちだと思いますが、皆さんはどう整理されていますか?
私は、全ての名刺を一元管理できるスキャナ〈Scansnap〉を使用して取り込み、名刺管理アプリの〈Eight〉を通して〈Google Workspace〉の連絡帳に自動登録するよう設定しています。
この方法では、連絡先も自動的に〈Google〉に登録されます。手作業で連絡先を電話帳へ登録する必要もありません。整理術の基本として、一元管理ができるツールの導入も1つの手です。
データ名に必ず「番号を振る」
次に、操作面積の大きいデジタルツール、パソコンのトップ画面やフォルダの中の整理術についてはどうしていますか。
私の場合、パソコン内は、共通のルールを用いて整理しています。共通のルールとは、パソコンに入れるデータ名に必ず「番号を振る」です。
例えば、
00番 → 重要事項・施策概要
01番台 → 計画書・社内ルール・管理系の資料等
10番台 → 具体的な施策に関する資料
80番台 → 事務手続き系の資料
99番 → 参考資料・アーカイブ資料
という感じで「データ名のルールを決めてしまう」のです。
ルール化に慣れるまではちょっと時間が掛かると感じるかもしれません。しかし、ルールに慣れれば、ひたすら番号を振っていくだけで、データの整理が自動的にできてしまいます。
例えば「社内ルールの資料だから01番台にあるな」というように、アテをつけてデータを見付けられるのです。どれだけプロジェクトが増えようとも「あの資料どこにあるっけ?」とやみくもに探さずに済みます。
「どうすれば情報に簡単にアクセスできるか」を考えて体系化しておけば資料の被りも紛失も防げます。
管理のソフトウェアも存在しますが、依存しない仕組みを私自身はとっています。全てデジタルで効率化すれば解決という話でもありません。番号の振り方は、皆さんの業務に合わせて調整してみてください。
可視化できていない無駄がビジネスには多く存在する
なぜ、このような整理を丁寧に意識するべきなのでしょうか。その理由は、当たり前に使っている道具、行っている仕事をあらためて見つめて「本当に必要?」「もっとシンプルにできない?」と考える良い機会となるからです。
ビジネスには、意識していないだけで可視化できていない無駄が多く存在しています。整理は、その見落としている「無駄」を発見する1つの手掛かりになってくれます。
方法論は世の中にたくさんあります。整理術など何らかの仕組みで解決できる無駄はどんどん省き、あなた(自分)しかできない仕事に、あなた自身で対応しようとする姿勢こそが大事なのです。
モノも情報も「過度」な時代です。定期的に入ってくる情報や増えすぎたモノを整理して、本当に大切なコトや人に時間を使っていただければ幸いです。
[文/甲州潤]