新入社員が次々退職するのはド派手な社長のせいだった!?さらに事件が…|職場ミステリー
うっかりばらしてしまい事件に
ところが事件が起こります。ある新入社員の男性が客に女社長の教育方針をうっかりばらしてしまったのです。「勇敢なのか、バカなのか、わからない」と年配の役員の男性が頭を抱えていました。それだけではありません。さらにその客はSNSに投稿してしまったのです。実名こそないものの、知っている人にはすぐに「あの不動産ね」とわかる投稿だったのです。
「でも女社長はしたたかでした。客に菓子折りをもって謝罪に出向き、『うちの新入社員が私の教育を誤解したため、ご迷惑をおかけしました』と深々と頭を下げてSNSの投稿を排除するようにお願いしたのです。有益な物件を割安でその客に紹介するという交換条件をもちかけて、一件落着となりました」と村上さん。
ピンチをチャンスにできるから経営者なのだと社内の一部にリスペクトする社員もいましたが、上にはへつらい、弱いものを挫くという社長の方針に、失望した社員らがやめていきました。会社経営が成り立たなくなり、私も次の更新はないなと覚悟したんです」
ところが社長のツテで大手の会社の支援で会社は持ちこたえたのです。でもリスクもありました。大手に吸収された形で役員も一新され、女社長も解任されたのです。
「私は残ることになりましたが、断りました。ごたごたがあった会社にいるより、新しい会社で気持ちを一新したかったからです」
美香さんら残っていた新入社員も同時に退社。仕事納めの日は、台風一過のような澄み渡った快晴になったそうです。
<TEXT/夏目かをる イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>
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