アンジャッシュ渡部建、“活動自粛”を経てたどり着いた新境地「ちょっとだけ前に進ませてください」
名刺代わりの本を出す必要があった
――「何らかの形で社会に貢献したい」という気持ちが根源にあったのでしょうか。
渡部:ちょっとでもコミュニケーションが楽になる人が増えればなっていう思いが強いですね。それと僕自身、今後も講演活動を続きていきたいと思っていて。「渡部建がコミュニケーションについて講演します」ってなると、「だまして女引っ掛けるテクニックなのか?」みたいな声がすぐ飛んできそうじゃないですか。
「いい加減な内容じゃないですよ」「企業向けにやってますよ」ってことを示す名刺とカタログという意味で、この本を出さないと僕的には始まらなかった。だから、「時期が早い」「お前何考えてんだ」という方には、本当に気を悪くさせて申し訳ないんですけど、ちょっとだけ前に進ませてくださいと。もちろん、そういう方に「買ってください」「僕の教えを聞いてください」なんて厚かましいこと言うつもりもないですから。
プロの手法は、普通に誰もが真似できる
――本書は、明石家さんまさん、タモリさん、東野幸治さんなど一流のタレントを例に会話の手法を紹介しています。なぜご自身以外のタレントを軸に据えようと考えたのでしょうか?
渡部:コミュニケーション能力の最終地点って「人に好かれること」「人が寄ってくること」だと思うんですよね。だから、まずはよくコミュニケーション本に書かれているような「コミュ力アップ=トークスキルアップ」って誤解を解きたいと考えました。
そして、まさにそれを体現しているのが一流のタレントさんたちです。僕が間近で見てきて思ったのは、「なんで(明石家)さんまさんの番組って、トークのプロでもない人がこんなに楽しく面白くしゃべれるんだろう?」「なんでマツコ・デラックスさんってあんな誰も興味を持てなそうな話題やテーマを持たせられるんだろう?」ってこと。
ぶっちゃけ僕はテクニックも何もないんですよ。先輩たちの真似ばっかりしてきたので、披露したくても自分なりの手法がない。ストロングポイントを挙げるなら、あれだけすごい人たちに囲まれて仕事してきたこと。それで僕にできるのは、「そういうプロの手法は、普通に誰もが真似できる」って伝えることなんじゃないかと考えたんですよね。