進む世界のEVシフト。激安中国勢の進出で日本車は窮地“国内でしか売れない”
日本進出は2023年春ごろ?
ちなみに同社は2022年10月現在、日本国内で市場調査をしていると報じられており、宏光MINI EVで2023年春ごろの対日輸出を狙っているようです。「安かろう悪かろう」という考え方が根強い日本において、安すぎるEVは一般向けには受け入れられにくいかもしれません。
しかし他のEVやガソリン車と比較して圧倒的な安さをほこります。宏光MINI EVは営業車などの社用車として、コストをできるだけ下げたい経営者にとって魅力的に見えることでしょう。
宏光MINI EVのように汎用品を使い、最低限の性能だけを搭載して車を安く売るという手法は日本の自動車メーカーにはできない戦略。中国勢が同様のやり方で航続距離200km以上の安価なEVを次々に開発して東南アジア地域に投入した場合、日本の自動車メーカーがEV市場を開拓する余地はなくなってしまうかもしれません。
このような状況でEV比率が上昇し続ければ、世界の自動車市場における日本のシェアは低下することになるでしょう。
日本製EVは国内でしか売れなくなる?
今のところ乗用車における両社の主な需要先は中国国内ですが、販売台数が多い分、両社にとって日本の自動車メーカーよりもEVのノウハウを蓄積するには有利な状況です。
今後、彼らの技術力は確実に向上していきます。航続距離や寿命などの性能が日本製EVと変わらない一方で価格がより安いとなれば、中国国外の消費者も中国製を積極的に選ぶようになるでしょう。日本製EVは国産品が好きな国内の市場でしかシェアを確保できず、海外では売れなくなってしまうかもしれません。
通常スペックのEVでは価格面で中国製に負けてしまうため、日本製EVはテスラのようにステイタスとして買われる高級車路線を歩むか、デザイン性で勝負するしかないと筆者は考えています。
<TEXT/経済ライター 山口伸>