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20代の転職はスキル・学歴がないとできない?ヘッドハンターが語る意外な最新事情

学び

 昨今は、就職人気ランキング上位の大手商社でも、「20代の若手がどんどん辞めていく」と経営者が嘆いています。商社に限らず銀行もしかり、大手電機メーカーもしかり、はたまた官僚まで次々と20代が転職していきます。

経団連会長も「就活ルール」を疑問視

渡辺紀子

渡辺紀子さん。ハイドリック&ストラクルズ(ナスダック上場)パートナー、日本企業の総責任者

 新卒一括採用の限界、ということが産業界ではたびたび議論となり、事実、経団連中西会長は9月3日の定例会見で「就活ルール」について疑問を呈しました。

 新たな仕組みが実現する前に、現実として、もはやその古い体系が崩れているのです。ですから、新卒で就職に失敗した、と思ってもまだまだチャンスがあるわけで、そういう意味では「一発勝負」でない良い世の中になったものです。

 また、20代の転職相談で最近、面白いと思っているのが「人生100年時代なので」というフレーズをよく聞くことです。まだ20代の若手ビジネスマンが、です。「70歳まで働くと考えると、1社で50年近く働くことは考えられない。であれば、区切りとして30歳までに1回転職というものをしてみようか」というのです。

 実は30代の人からも「人生100年時代。必ず転職をするだろうから、一番働き盛りの今、初めての転職をしてみよう」と同じことを言われます。「人生100年」という言葉が転職の増殖という社会現象を引き起こしたと考えると、言葉の力の大きさを考えさせられます。

 一昔前は転職というのは、どちらかといえば秘めたものという趣がありました。今ではSNSで「転職しました」と発信するのは当たり前、日々それを目にして「俺も転職できるかも」と刺激を受けて活動を開始する方も多いのが現実のようです。

<TEXT/渡辺紀子>

ハイドリック&ストラクルズ(ナスダック上場)パートナー、日本企業の総責任者。東京大学中国語中国文学科卒業。豊田通商、縄文アソシエイツを経て現職にてヘッドハンティング業務に従事。社長や最高責任者、社外取締役、若手幹部候補、スペシャリストのスカウトで多くの実績がある。対話による信頼関係構築を重視し、毎月150人以上の候補者、経営者と面談を行い、最前線で活動

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