「駅から徒歩2時間半」一軒家を“立ち飲み屋”に改装した34歳の自給自足ライフ
ご近所に助けてもらう生活
――引っ越して早々、災難ですね。
永野:貯金を切り崩して生活していて、残高が減ってきたので、どうしようかなと思ったら、「ジビエの解体の仕事をしないか?」とお誘いをいただいて、修行させてもらったりました。その後、山を切り拓いて、畑を作り、肥料に腐葉土を使って野菜を育てる研究をしている団体の手伝いをさせてもらったり、山の中の食べられるものを調査して記録に残す仕事をさせてもらったりしていました。
でもお金が稼げる仕事ではなかったので、近所のおじいさんおばあさんの家にお邪魔して、ご飯を食べさせてもらったりしていましたね。
――ご近所にお世話になってたのですね。
永野:近所に挨拶して、こういう活動をしていますというと、いろいろな人が手を差し伸べてくれるんですよ。「農業をやりたい」と言っていると、空いている土地があるよといって紹介してもらえることも多いです。
田舎にシェアハウスを作るが台風の被害に
――技術を持ってると田舎では暮らしやすそうですね。
永野:技術は現場でしか覚えられないですからね。田舎では草刈り機とかチェーンソーとか鎌とか普通に使いますから。田舎暮らし1年目はいろいろなところで働かせてもらって、生きて行くための技術を学びました。2年目は「居候の家」というシェアハウスを始めました。Facebookを通して呼び掛けたのち、友人らの紹介もあり、すぐに住人が集まりました。
なんで居候の家かというと、僕が居候で家賃を払わずに住む仕組みになってます。家賃、水道光熱費、食費を僕以外の人で分けてもらう仕組みで、毎月変動制の家賃です。だいたい1か月3万円以下で食事付きです。僕が作った野菜を出せる日は食費が浮くので家賃が安くなります。
――食事付きとは実家暮らしみたいですね。
永野:でも2019年の台風15号で、ものすごい被害を受けて、インフラが止まりました。住人だった人たちが、自然災害とか災害復興の手伝いが嫌になっちゃって東京に帰っちゃったんです。でも悩むより体を動かそうと思い、一生懸命復興の手伝いをしたら、地元の人から「災害ボランティアチームに入らないか?」とお誘いをいただき、そこでさらに基本的な技術を身につけました。
その繋がりで地元の大工仕事なども手伝うことになり、土木のやり方やリフォーム、板金塗装とかの専門的な技術も取得していき、そこから仕事もまた増えてきました。