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「100年後にラーメンの歴史を残したい」“引退表明”したラーメン博物館の館長が描く夢

ビジネス

成功要因は「本気」だったこと

新横浜ラーメン博物館

営業戦略事業部営業戦略課主任 栗原幸司氏 右:館長 岩岡洋志氏

 ラーメン博物館は、オープン後28年間、変わらず人気を博している。その要因は何か。岩岡氏に聞くと、「一言で言うなら『本気』だったってことです!」と冗談めかして答えた。

「ウチの社員が全員本気になる。背水の陣でいく。そうすると皆伸びるんですよ。絶対に。100メートル走るのだって、流してたら速くならない。全力で走るから、速くなる。今年の経営方針説明会で言ったのは、ラーメン博物館ができたのは、本気だったからだと。みんなも本気になってくれと」

 そう語る岩岡氏は、7年後に引退する。以前、ラーメン博物館には海外進出の構想があった。2000年代はラスベガス。2010年代後半はヨーロッパを目指した。が、コロナとロシア・ウクライナ問題が勃発する。

「『私の代』としてはやめます。私はあと7年で引退。だからやめようと思ってます」

100年後にラーメンの歴史を残したい

新横浜ラーメン博物館

「牛乳屋食堂」でラーメンを食べる bizSPA!フレッシュ編集部永森

 海外進出の判断は次の世代に託し、自身は「当初の想い」を実現する。出版である。

「100年後でも、ご当地ラーメンがどのようにして生まれたのかわかる本があったら、すごい価値あると思うんですよ

 ラーメン博物館の資料は膨大だ。すでに他界した人物の貴重な映像も多い。これらをテキスト化する。新たに撮影もする。ラーメンの変遷、中国との文化交流、戦争など歴史背景も収める。

きちんと史実に基づいているけれど、楽しく読める本を7年以内に作りたい。外国語に翻訳し、世界中の国会図書館に収め、食べ物の歴史として残したい。当初『博物館』にしようと思った想いは、そこですから」

 岩岡氏曰く、本の出版をもって「ラーメン博物館が完成するんです」とのことだ。

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