“初任給42万円”サイバーエージェントの好調で際だつ「ウマ娘」の稼ぐ力
業績好調のサイバーエージェントが、2023年春の新卒入社初任給を42万円に引き上げると報じられています。営業、クリエイター職の初任給は34万円、エンジニアは37万5000円で、あとは個人の能力次第という設定でしたが、一律で大幅に引き上げる決断をしました。
提示している金額には残業代80時間を含んでいることが議論されていますが、サイバーエージェントの過去の報酬額と比較すると大幅に多くなっていることは確かです。サイバーエージェントの業績推移と成長戦略から、初任給を引き上げたその意図が見えてきます。
ヒットが一巡するも営業利益率は二桁をキープ
サイバーエージェントは2021年9月期に売上高が前期比39.3%増の6664億6000万円、営業利益が前期の3倍となる1048億8100万円となりました。営業利益率は前期の7.1%から8.6ポイントも上昇。15.7%で着地しました。
2022年9月期はゲームの人気が一巡。営業利益は前期比32.9%減の700億円を予想しています。しかし、売上高は5.0%増の7000億円。増収減益となる見込みです。ウマ娘効果が薄れたとはいえ、営業利益率は10%。長らく8~7%で推移していたことを考えると、稼ぐ力はまだまだ衰えていません。
サイバーエージェントの主力事業はインターネット広告、ゲーム、メディアの3つ。その中でもインターネット広告は売上高全体の半分以上を占めています。
ゲームの稼ぐ力が広告を圧倒
ただし、事業ごとの営業利益に注目すると、見え方は変わってきます。2021年9月期のゲーム事業の営業利益は967億2900万円、広告事業は231億4200万円で、ゲーム事業が4.2倍も上回っています。
ウマ娘人気が一巡した2022年9月期第3四半期においても、ゲーム事業の営業利益は484億2700万円で、広告事業は194億900万円でした。ゲーム事業の利益が相変わらず2.5倍上回っています。
営業利益率だとゲームは27.9%、広告は6.8%。ゲームの稼ぐ力が広告を圧倒しています。