京大卒CEO弁護士が「死ぬほど仕事して」気づいた“固定観念の外し方”
現代は誰もがクリエイターになれる時代だ。しかし、クリエイターを仕事にしようとすると、敷居はグッと高くなる。生活していくだけの収入を得られるのは、ごくわずかな人かもしれない。「しろしinc.」CEOの山田邦明さんは、コンサルタントとしてクリエイターの支援を続け、今年5月に著書『クリエイター1年目のビジネススキル図鑑』(KADOKAWA)を出版した。
地元の高専を卒業した後、京都大学の法科大学院で学び、弁護士になった山田さんは、学校に通わずに高校卒業資格が得られるフリースクールもえぎの監修も行う。徹底的な合理主義と、理論的思考を持つ彼に、インタビュー前編に続いて、このパワフルな活動の源はどこにあるのか。クリエイターの心配の種「インボイス制度」についてどう考えているのか聞いた。
【前回の記事】⇒《クリエイターが食べていくには?“創作を支援する”弁護士に聞いた必要条件》を読む
「頼むから、自分の言葉でしゃべって」
――日本人ってめちゃめちゃ自己評価が低いですよね。そうすると自分の可能性に気付けないので、とても問題だと思っています。
山田邦明(以下、山田):今、フリースクールに来てくれている子は、もともと「普通」の学校が合わなくて、いわゆる不登校になっていたのですが、徐々に自分の持っているものに気付いていっていますね。フリースクールがその子のポテンシャルをちゃんと発揮できる場所になっているなという感覚です。
――日本の学校はある意味画一的ですから、そのシステムに合わない子は大変だと思います。
山田:そうですねー。ポテンシャルが殺されてるという意味で言えば、就活ですね。僕たちの周りにおもしろい大学生がたくさんいます。でも就活が始まると、自分の可能性をのびのびと活かしていた子たちが、人事の人やインフルエンサーが言っているようなテンプレそのままをしゃべるようになってしまうんです。「ほんと頼むから、自分の言葉でしゃべってよ」と思うことはよくありますね。だから就活は嫌いです。
自分を社会にフィットさせてはいけない
――日本では個性の強い子は大人から嫌われる傾向にある気がします。そうしたおしきせが苦手で学校に馴染めなかったり、クリエイター系の学校に行く子も多いと思いますが、結局、就活でそこに向きあわなきゃいけないのはナンセンスですね。
山田:いや、ほんとそうなんですよね。僕のいうビジネススキルは、より自由になるためのものなんです。制約を外していくものというか。何か創作するときに、新しいペンが欲しくなる。手に入れたら描きたくなる。ビジネススキルってそういう種類のものなんですよ。
自分を社会にフィットさせるんじゃなくて、ただ社会に自分の創作を見せていくためのツールを手に入れるだけなんですよね。そこを間違えないで欲しいと思います。