日本の4000万人は「お酒を飲まない人」。アサヒビールの新会社社長に聞いた
アサヒビールが2020年12月に提唱・宣言した「スマートドリンキング」。さまざまな人々の状況や場面における飲み方の選択肢を拡大し多様性を受容できる社会を実現するために、商品やサービスの開発、環境づくりを推進し、お酒を飲む人も飲まない人も、お互いが尊重しあえる社会の実現を目指すものだ。そのために新会社のスマドリ株式会社を設立したほどである。
今後の事業展開から目が離せないスマドリだが、どのような将来展望を描いているのか。スマドリの代表取締役社長、梶浦瑞穂氏に会社設立の経緯、事業の詳細、会社としての目標などを伺った。
目的は何か新しいことを始める
アサヒビールは「スマートドリンキング」宣言後、微アルコールビールテイスト飲料「ビアリー」や微アルコルハイボール「ハイボリー」を発売したほか、商品やホームページで純アルコール量(g)の開示を実施してきた。スマドリの設立が構想されたのは2021年春ごろ。設立の経緯を次のように話す。
「当時、アサヒビールに電通デジタルからの出向者が1名いました。その方は約2年いたのですが、出向の目的が『何か新しいことを始める』。社内で面白そうなことを探している中で興味を持ってくれたのがスマートドリンキングでした」
飲めない人の気持ちに鈍感なところが
スマートドリンキングに興味が持たれたのは、お酒が飲めない人に向けての取り組みを、お酒を扱う会社が始めたことにあった。電通デジタルからの出向者もそれほどお酒を飲む人ではなかった。
「アサヒビールはお酒を飲む社員が多いので、飲まない/飲めない人の気持ちに鈍感なところがあります。そんな会社がスマートドリンキングに取り組むことを面白がってくれ、共感もしていただけたようです」
梶浦氏はアサヒビールでスマートドリンキングに関わる活動を推進する新価値創造推進部の部長。もっと推進していくにあたって2022年1月に、電通デジタルと合弁で専門のマーケティング会社、スマドリを設立した。現在、スマドリの社長と新価値創造推進部の部長を兼務している。