台湾企業から18億円の配当がある「新潟のせんべい会社」の正体。ゆるく見えて素はマジメ
売上以上の成果は「制約の破壊」
売上以外の成果もあります。「制約」が破壊されたのです。「品質が高ければ黙っていても売れる、は勝手な思い込みだった」と、頑固から柔軟へ。社内の空気が変わりました。
岩塚製菓の商品のひとつ「きなこ餅」は、個別包装が高級せんべいのように美しくデザインされています。これは、女性社員の提案によるものです。現場のアイデアが、通りやすくなった。制約がなくなり、社内の風通しがよくなった。その成果は、売上以上だったのかもしれません。
筆者の取材に対し、岩塚製菓総務課の山本氏は、以下のように述べています。
「品川女子学院との共同開発経験がなければ、『バンザイ山椒』のような商品はNGだったかもしれない」
やはり素は真面目な岩塚製菓
2020年5月26日の決算説明資料には、「コンビニエンスストアで発売したバンザイ山椒が若年層を中心に、 SNS で『バズり』ました」と記載されています。「バズる」。かつての岩塚製菓だったら、この単語を使うことはなかったはず。
「バズる」の意味がわからない株主もいるのでは……と思いきや、「※バズる=ネットで話題となる」と枠外に解説がありました。
やはり親切。素は真面目。この真面目さと柔軟さで、これからも美味しいおせんべいの開発を続けていただきたいものです。
<TEXT/中小企業診断士 関谷伸之>
【参考資料】
『日本のものづくりが中国を制す』(PHP研究所)
『新潟のおせんべい屋さんが東京の女子中学生にヒット商品づくりを頼んだらとんでもないことが起こった!?』(かんき出版)