精子ドナーで年間約70万円の稼ぎにも。米国で盛んな「精子ビジネス」の現実
映画では1人の精子で生まれた子が…!
米国の映画『人生、サイコー!(原題:Delivery Man)』を観たことがあるだろうか? 693回におよぶ精子提供を通じて533人の子どもの父親であることが発覚した男をめぐるハートフルなコメディ映画だ。
この映画の中の話だけではなく、1人の精子ドナーから150人の子どもが生まれた話や、1人の精子ドナーが3か所の精子バンクに7年間精子提供を続けた結果、約364人の子どもがいる可能性の話など、実話もある。
ソーシャルメディア(SNS)の「ツイッター(Twitter)」やローカル情報を交換するサイトの「クレイグスリスト(Craigslist)」などで精子提供する男性もいる。
その結果、男性(精子ドナー)が想像してもいなかった被害に遭うケースもある。カンザス州で同性愛の女性カップルに「クレイグスリスト」にて50ドル(約5700円。ドル換算は1ドル114円)で精子提供した既婚男性(精子ドナー)が、生まれた子どもの養育費負担(6000ドル、約68万4000円)を同州から命じられ、州当局と法廷で争うトラブルが起こったのだ。
「1か月1500ドルで家族を救って下さい」
この男性(精子ドナー)は同性愛の女性カップルと「親権や養育に関する責任は一切ない」という誓約書を交わしていたが、「法的なものではない」と州当局から訴えられた。幸い、3年後の判決でこの男性は「精子提供によって生まれた子どもの父親ではない」とされ、養育費を払う必要がなくなった。
精子提供して5700円の報酬を受けただけのことが、のちに68万4000円の養育費を支払えと州政府に命じられてしまうとは、夢にも思わなかっただろう。
この男性が利用した「クレイグスリスト」のロサンゼルス版を見てみると、「6か月で4000ドル収入可能」「1か月1500ドルで家族を救って下さい」などという精子提供の募集が目立つ。
カリフォルニア州ロサンゼルスに住むある男性は「ツイッター」に堂々と顔写真を掲載して精子提供を行なっている(註:実物の顔写真かどうかは不明)。「精子ドナー(Sperm donor)」で検索すると、他にも同じような男性を数人見かける。