「創業218年のミツカン」の原点とDX化の本気度は?外資系出身CDOに聞いた
毎日ブランドに触れてもらう
現在、渡邉氏はMizkan HoldingsのCDO(チーフ デジタル オフィサー)として、デジタルを活用して全社的な課題解決を推進、主導する立場にある。マクドナルド時代の経験を生かし、デジタルを駆使したファンづくりを推進していくなかで、「生活者にいかに参加してもらえるか」を心がけているという。
「ミツカンには、さまざまな用途に使え、これ1本で味がきまる『カンタン酢』という商品があるのですが、コロナの巣ごもり需要に合わせて『「カンタン酢」酢ごもりボーナスキャンペーン』施策を行いました。おうちごはんの機会が増えるなか、お酢料理を紹介する『酢ごもり応援レシピ』を提案したり、『カンタン酢タンプ帳』と題したスタンプを収集できる仕組みを取り入れることで、毎日『カンタン酢』に触れてもらうきっかけづくりをしました。
特に、商品についているバーコードをスキャンして、スタンプを集めていくというゲーム要素のある仕組みが好評を博し、約3万人にのぼる方にキャンペーンへ参加していただきました」
メーカー企業では「機能的」な価値をどうしても伝えがちだが、生活者が楽しいと感じる「情緒的」な価値を提供すれば、新たなファンの創出につながってブランドのロイヤリティ向上に寄与できるというわけだ。
日系企業へと転身した理由とは?
外資系企業で学んだ生活者を巻き込むコミュニケーションを実践し、デジタルの力でミツカンのファンを増やすことに取り組む渡邉氏。だが、そもそもなぜミツカングループのような日本の老舗企業へとキャリアチェンジしたのだろうか。
「たまたまご縁があって、Mizkan HoldingsのCDOとしてオファーいただいたのが背景になっています。これまで外資系を渡り歩き、デジタルを中心とした仕事に携わってきましたが、日本発祥の企業で変革と挑戦に臨み、日本のマーケットや社会に貢献、新しい価値を生み出すような仕事がやりたいとずっと思っていたというところがあります。
また、『デジタルとリアルが繋がり、交わることで生まれる価値』を見いだすことの重要性をカタリナマーケティング時代に体験していたのですが、ミツカングループなら、まさに日本の老舗企業なら自分のバックボーンが活かせ、デジタルの力で新しい価値の創造のお手伝いができると考えたんです」