コロナで「イライラする人」が知るべき理性の働かせ方。コツは6秒と3重丸
八つ当たりが手軽なストレス解消に
さらに、八つ当たりは、心理学的には「置き換え」と呼ばれます。本来の相手と戦えない時に、代わりに別の対象に向けて戦うものです。たとえば、上司やお客様から何か言われ、腹が立っても戦えない。その代わりに部下や家族に向けて戦い、心を守ろうとするものです。自分よりも弱い立場の人、自分を受け入れてくれそうな人がその対象となります。
また、相手が有名人などでも、彼らの落ち度をSNSで叩くことによって、周囲から「正義の味方」と賛同され、心を満たすことができます。皆で怒り、叩くことによって、連帯感を覚える。そして、情報が拡散していくことで、影響力(自分の存在感)を抱き、満足していく。そういう意味では、怒り、八つ当たりが手軽なストレス解消、娯楽になっている側面もあります。
コロナへの不安から怒りが生じ、コロナ禍が原因の不満、ストレスが燃料になり、怒りが増してもコロナとは戦えない。だから、代わりに誰かに八つ当たりをして心を守りたくなっているのです。しかし、八つ当たりをしたところで、もともとの不安、不満、ストレスは解消しないうえ、相手を傷つけたり、信頼を失ったりするので、八つ当たりはしないに越したことはありません。
「怒って後悔」する人に試してもらいたい対策
そこで、腹が立ったときの対処法ですが、「理性」を動かすのが鍵になります。理性は、大脳の前頭前野が司っており、感情や行動のコントロール、思考、創造、計画、意欲、コミュニケーション、記憶を担当しています。
理性は、人間の発展の歴史において大きな役割を果たしていますが、感情を司る部分よりも後にできて、反応速度も遅いです。感情よりも6秒ほど遅れて動き出すという説から、アンガーマネジメントではイラっとしたら6秒待ってから発言し、行動を起こすことを勧めています。
感情は瞬間的に生まれるため判断ミスが起きやすいです。例えば、怒りの感情から「相手が自分を否定し、傷つけようとしているから、叩きのめしてやれ」という指令が下されるため、その判断が正しくない可能性があります。6秒待って理性が働けば「いやいや、相手は親切で言っているから、むしろ『ありがとう』だろ」と、訂正される可能性があります。
基本的に、感情のほうが強く「さっさと叩きのめさないとやられるぞ!」などと煽り、その結果、余計なことを言って後悔しがち。そこで、理性に「待て、待て、落ち着け!」と止めさせる必要があるのです。