30代過ぎて「好きな仕事・やりたい仕事」を追い求める人が直面する危機
30代で「向いていること」は決まっている
具体的にはあなたの根幹にある性格、価値観、動機にあたります。諸説ありますが、資質は生まれてすぐに半分、20代前半までの間にもう半分が固まると言われています。その後は、人生観が変わるくらいの衝撃がないと変化しない特徴です。
そう、30代では向いていることは決まっているのです。しかし、日本人は得意なことよりも、「できないこと」に意識が集まりがちです。これは子ども時代からの偏差値教育からも見て取れます。何か一芸に秀でるより、苦手な科目の偏差値を上げることが求められます。
仕事もそうです。管理指標の中でできないこと、上司・先輩、同期と比較して自分ができないことや苦手なことがハッキリと認識されます。そのため、苦手なことをクリアすることに注力してしまうのですが、これでは成果も成長も期待できず、評価も評判も落とすことになるのです。仕事で成果を求められる30代は、不得意なことを克服している時間などありません。
そんな時間があるなら、資質に合った仕事をすればいいのです。
自分の「資質」と合わないスキルは無駄
また、スキルを身につけることで苦手を克服しようと考える人もいますが、ここにも落とし穴があります。自分の資質と合わないスキルは、習得に時間がかかるわりになかなか伸びないことが、心理学で言われています。
苦労してやっとできるようになったことは、残念ながら他者と差別化できるレベルにいたりません。にもかかわらず、苦労してやっと手にいれたスキルは時間をかけた分、愛着が湧くので「自身のアドバンテージになった」と勘違いする傾向があります。それこそが、間違いの始まりです。簡単な例を出しましょう。
■ × 対人関係が苦手な資質の人 → コーチングを学ぶ → 売れないコーチ
■ 〇 対人関係が得意な資質の人 → コーチングを学ぶ → 売れるコーチ
同じコーチングを学ぶとしても、前者は苦労のわりにそれで食べていくことはできず、後者は楽々スキルを習得し、プロになることができます。苦手なことをスキルでクリアすることは、マイナスをゼロに近づけるだけ。得意なことに合ったスキルを学ぶことは、プラスをさらにプラスにすることになるのです。