30代過ぎて「好きな仕事・やりたい仕事」を追い求める人が直面する危機
30代は人生で一番大切な時期で、最も差がつく10年です。GAFAやスタートアップ企業を含め、世の中を動かしている企業で選抜され、活躍しているのは28歳から38歳の方々で、この時代の過ごし方で、40代以降の選択肢が決まります。
逆に言うと、30代の過ごし方を間違えてしまうと取り返しがつきません。あなたの周りにもいるでしょう。40歳を過ぎても活躍する場がなく、永遠に作業員的な仕事しか与えられず、転職もできず、ただ真面目に働くしかない先輩が。
今回の連載では、『できる30代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の内容をもとに、忙しい30代やイケテル30代を目指す25歳世代に向けて「これ」だけやればいいキャリアや働き方のコツを、人事戦略コンサルタントの筆者が解説します。
好きな仕事、やりたい仕事の正体は
どうせ仕事をするなら、「好きなこと」や「やりたいこと」がいい。でも、「好きな仕事・やりたい仕事」は、わかるようでハッキリせずモヤモヤしている間に時間だけが過ぎています。30代のキャリアの悩みは実は簡単に整理できます。自分の悩みに該当するところをみれば、おのずと解決方向がみえてきます。
そもそも、好きな仕事、やりたい仕事とはなんでしょう。なぜ、悩むのか。それは、「好きな仕事、やりたい仕事」という美しい言葉の中に罠が潜んでいるからです。あなたが考える「好きな仕事、やりたい仕事」を、あなたはどう知りましたか?
ただの「情報」という名の「妄想」
親がその仕事をしていた。TVやネットで知った。学生時代の先輩がその仕事をしていた、就活で知った……人によってさまざまでしょうが、共通しているのはひとつです。
それは「情報」として知ったこと。何かしらの情報のインプットによって、その仕事のことを知ったはずです。たとえば好きな動画を通じて「YouTuber」になりたいと思った。あるベンチャーのCEOや働いている人が魅力的だったので、ベンチャー企業で働きたいと思った。このように、「好きな仕事・やりたい仕事」を情報として知ったから、キャリアの選択肢に入ったのです。
言い方を変えれば、その「好きな仕事・やりたい仕事」は、魅力的に彩られた情報に「なんとなく憧れただけ」というのが実態で、あなたの本音ではないのです。
さらに、情報は日々アップデートされていきます。ゆえに悩むのです。5歳の女の子が将来「プリンセスになりたいの」と憧れるのは可愛いですが、就活時にその進路は選ばないでしょう(もし選んだら、それはそれでスゴいですが)。キャリアの選択肢や、「好きな仕事・やりたい仕事」が大量にアップデートされる反面、30代はある程度の知見がつき、自分なりの現実を見る目があるので悩むのです。