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勢い任せの運営も…販売累計1億個ブランド「ボタニスト」が苦境を乗り越えたワケ

ビジネス

時代の先を行くサスティナブルなブランドへ

ボタニカル

2021年3月にリニューアルしたBOTANISTのパッケージ

 そして今年3月にはBOTANIST初のリニューアルを敢行した。「一歩踏み出す、自然と変わる。」という新たなメッセージには閉塞感や停滞感が漂うなかでも、小さなアクションを起こし、一歩を踏み出すことの大切さをブランドから発信するという想いが込められている。

 リニューアルの意思決定をした背景として、今井氏は「BOTANISTの根底にある『植物とともに生きる』というブランドの使命を果たすために踏み切った」と言う。

「気候変動、森林破壊、プラスチックごみなどの環境問題に、ブランドとしてどう取り組んでいくかというのを、2017年からアクションをスタートし、森林保全活動をしていました。そんななかで、主力のヘアケアから環境に配慮したバイオマス容器に変更し、クリーンでシンプルなデザインへと刷新しました。石油由来のプラスチックの代替となる、サトウキビ由来のバイオマスプラスチックをボトルの容器に採用しています。

 また、森林保全団体『more trees』と協働で、多様性のある森づくり「BOTANISTの森」も北海道の美幌町で進めていて、サスティナブルな活動にもさらに力を入れていく予定です」

「消費財」ではなく「ソーシャルプロダクト」

ボタニカル

森林の保全活動を支援するため、2021年より北海道美幌町で「BOTANIST の森」づくりを開始した

 近年、SDGsやサスティナブルがある種の“流行り”としてもてはやされている。一方、BOTANISTはブランドとして「変わる部分と、変わらない部分」を意識し、その時代のなかでどんなメッセージを打ち出していけるのかを常に念頭に置いているという。

「社会課題に貢献できるブランドとして、単なる日常的に使う消費財ではなく、“ソーシャルプロダクト”と呼ばれるようなプロダクト・ブランドへと昇華させられるよう、これからも尽力していきたいですね。そのためには、ブランドが存在している理由と世の中にどんな貢献が出来るのかを常に考え、ブランドアクションし続けなければならない。

 さらにブランドを磨くためには、カルチャーやアート、SDGsなどあらゆる要素の情報感度を高め、BOTANISTらしさを追求していく必要があるでしょう。今後も、多様な考えを持つクリエイターと共創し、ミュータント(偶発的な突然変異)を作り出していきたいです」

 ボタニカルライフスタイルの提案から、ソーシャルプロダクトへと進化させる、新たな挑戦が始まった。今後の発展に注目したい。

<取材・文/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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