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勢い任せの運営も…販売累計1億個ブランド「ボタニスト」が苦境を乗り越えたワケ

ビジネス

デザインを内製化することの功罪も

 BOTANISTはブランドの世界観を大切にするため、デザインチームも内製化に注力。現在は総社員数の約20%に当たる社員がデザイナー業務に従事しているそうだ。

「2007年の創業時にECサイトを立ち上げて以来、ガラケーに表示するLPやサイトデザインを自分たちで作っていました。時代の変遷やブランドの成長とともに、パッケージや販促物、動画やSNSなどあらゆるクリエイティブの作成が必要になってきました

『ブランドの情熱をダイレクトに伝える』ためにはクリエイティブコントロールが効くほうがいいわけです。自社でデザイン周りを全て行えるような体制を構築することで、知見やデータが蓄積され、新規プロダクトを立ち上げるときにも生きてくると思います。

 一方で、属人化やガラパゴス化してしまうのがデメリットな要素として挙げられます。社内の表現やアイデアに寄らず、外部のエージェンシーやアーティスト、クリエイターと一緒になってBOTANISTを作っていくことで、まだ見ぬクリエイティブを見いだせるように心がけています」

勢い任せでのブランド運営を見直した過去

ボタニカル

2020年7月に発売した和の成分に着目した「BOTANIST PREMIUM(ボタニスト プレミアム)」

 だが、どんなに優れた商品であっても苦難は訪れる。2017年くらいを境に、今まで右肩上がりで伸びていた成長率が鈍化してしまった。足踏み状態をいかに乗り越えたのだろうか。

「創業以来、成長と共にその都度付け加えるような体制を刷新する必要がありました。BOTANISTを発売して2年ちょっとで社員が急速に増えたことで、旧来のマネジメントではうまく回らなくなっていたんです。

 そのため、ブランドパーパスやレギュレーションを整えブランドブックを作成したり、人事考課を整備したり、人選のバランスを考えながらブランドチーム制を敷いたりと、企業としてのガバナンスを強化していきました。また、ヒット確率を高めるために独自のブランド開発モデル『IPTOS』を作り、ブランド成長における可視化を行うなど、1つひとつ課題解決に向けて取り組んでいきました」

 IPTOSとは「Idea(アイデア)」→「Plan(企画)」→「Test(検証)」→「Online/Offline(EC/一部小売り)」→「Scale(EC/小売りスケール)」の5段階に分け、それぞれの指標を設けて管理する独自モデルだ。こうした巻き返しの一手が功を奏し、BOTANISTは再び成長路線へと転じる。運営会社であるI-neは2020年9月に東証マザーズに上場を果たした。

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