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オリパラで話題の“手話通訳者”が明かす「海外の固有名詞に苦労した」開閉会式の裏側

ビジネス

開会式には手話通訳がなく、落胆や不満の声が

野口岳史さん

――海外で先に、ろう通訳が広まっていたそうですが、なぜ日本では広まるのが遅れたのでしょうか。

野口:日本では、「手話通訳士」という厚生労働大臣の認定試験があります。ですが、ろう通訳には、その認定試験がなくて、資格自体が存在しない。なので、聞こえる人の手話通訳者が活躍するという状況でした。そんななかで、日本でもろう通訳を養成するように動いたNPO法人手話教師センターが2015年から養成を始めたんです。

――オリパラの開閉会式を、ろう通訳者が担当することになったのは、どんな経緯が?

野口:今回、オリンピックの開会式に手話通訳がついていなかったので、ろうの視聴者から、落胆や不満の声があがっていたんですね。そこで、閉会式からは通訳をつけることになったんですが、NHKとしてはろう通訳にしようということになったんです。これは、NHKの他の番組でろう通訳を使っていたという実績から繋がっていることだと思います。

海外の固有名詞に苦労した

――依頼が来た時の気持ちを教えてください。

野口:責任重大な仕事だとプレッシャーがありましたが、私自身もオリンピックの開会式で手話通訳がなかったのは、とても残念に思っていたので、少しでもお役に立てればという想いで引き受けました。

――工夫した点はありますか?

野口:一般的には、話をしている人と手話通訳をする人が距離的に離れていることが多いです。なのでろう者は、話している人と手話の両方を見るために、あちこち見なくてはいけないことが多くありました。しかし、今回の開閉会式では、映像の横に通訳者が立てるようにしたので、ろう者は見やすかったと思います。

――難しかったことはどこですか?

野口:国名や選手の名前など、固有名詞がたくさん出てきたので大変でした。フィーダーの手話だけではなく、たくさんのカンペを用意して、固有名詞はそちらに書いて用意しておきました。誰がどのメダルをとったのかということを間違えるわけにはいきませんので、苦労しました。

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