UHA味覚糖、幻のラムネ誕生に隠された苦労「ヒット確率は1000分の1」
スーパーやコンビニでは数多くのお菓子が並んでいる。入れ替わりが激しく、各メーカーもこぞって店舗での販路拡大に勤しんでいる状況といえよう。
そんななか、一風変わった独自のお菓子を出し続けているのがUHA味覚糖だ。「シゲキックス」や「e-maのど飴」、「ぷっちょ」など独創的な商品を生み出しており、最近では飴やグミのみならず「レインボーラムネミニ」も発売し、商品ラインアップを増やしている。
UHA味覚糖株式会社で戦略マーケティングセクションリーダーを務める真銅章浩氏に、商品開発で意識していることやラムネ事業へ参入した経緯を聞いた。
商品開発の根底には「UHA」の精神
UHA味覚糖は創業から70年以上にわたって、多くのユニークなお菓子を世に出してきた。まるで宇宙人のようなシンボルキャラクターの「UHA坊や」も馴染み深いだろう。明治製菓やカルビーなど競合他社とは一線を画すラインナップの根底には、社名であるUHA(ユニーク・ヒューマン・アドベンチャー)に込められた想いを大切にしているという。
「『遊波=UHA』という社名には、食の生み出す美味しさや、夢、楽しさなどを『波』に乗せて広げていくこと。そして遊び心を大事にしているという意味が込められています。まだ世の中にないお菓子を生み出し、時代の変遷とともにお客様ニーズに合った個性的な商品を出してきたことで、老若男女問わず愛されるお菓子メーカーへと成長してきました」
最初はロングセラーで知られる「特濃ミルク8.2」などのキャンディからスタートし、2000年代には「ぷっちょ」や「e-maのど飴」、ここ最近ではサプリメント商品など、多様化する消費者のニーズを捉えながら業容を広げてきた。
1000分の1でしかヒットは生まれない
「2006~2011年からはアイドルやアニメ、企業などとコラボ商品を出し、幅広い層へアプローチできるよう努めています。UHA味覚糖の商品は、市場のニーズよりも『尖っていて、優位性があるか』を重視しています。もちろん商品を出すからには、お客様に手に取ってもらわないといけないので、ある程度の市場調査は行います。でも、あまりニーズの調査に時間をかけていると流行についていけず、タイミングを逸してしまう。そのため、エビデンスやニーズに頼りすぎないよう、スピード感を持った商品開発を行い、思い切って世に出すことを意識しているんです」
裏打ちされた緻密なデータよりも、経験や知識から生み出されるアイデアを大事にする姿勢こそ強みだといえる。しかし、「ただ面白くても、美味しくなければリピートしない」ことから、商品開発におけるアイデア出しは毎週行っているという。
「食品に限らず、異業種の動向やトレンドにも目を光らせ、常にアンテナを張っています。まずは自分たちがワクワクするかを念頭に置きながら企画を考えていて、毎週1回必ず社長の前でプレゼンしているんです。ただ、いい商品というのはそう容易く生まれるものではなく、1000個出してようやく1個商品化が決まるくらいです……」