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大学発ベンチャー企業が「コオロギせんべい」を無印良品と協業に至るまで

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無印良品との協業に至ったワケ

グラリス

無印良品と協業して開発した「コオロギせんべい」

「もともと、無印良品の中でコオロギのプロジェクトを進めようという話があり、有識者として徳島大学で研究をしていた私に連絡がありました。そのときはすでに起業の準備をしていたため、いい機会だということで無印良品とグリラスで、新しい商品の開発を進めていきましょうということになりました」

 無印良品の“コオロギせんべい”にはコオロギの原型はなく、想像させるようなニオイや味わいもない。香ばしく、エビせんべいのようで初心者でも食べやすい。1枚あたりに入っているコオロギの数が気になり尋ねると、製造過程で使用されているグリラス開発の「コオロギパウダー」には、10gあたり約120匹とのこと

「消費者の皆さんにとって、コオロギの匹数は気になるところかもしれません。ただ、我々としてはコオロギを利用することで、“商品の中に入っているコオロギがフードロスをどれだけ削減したのか”ということが重要なため、商品には匹数は記載していません」

コオロギを食用にしたキッカケは?

 話を聞き、サーキュラーフードは未来の食を救う食材だと感じたが、そもそも「コオロギ」を食用として利用することになった経緯とはどのようなものだったのだろう?

「もともと我々(株式会社グリラス)、とくに私は、徳島大学でコオロギの研究をずっと続けてきた研究者で、昆虫や生き物のカタチがどうやってできるのか? という基礎研究を続けてきました。ただ、周囲からは『直接的には社会に役立てていない』と言われてきたわけです。そうして長年モヤモヤとしていたところ2016年に徳島大学で改組があり、生物資源産業学部ができて、私が教員として雇っていただけることになりました」

 大学の改組が、研究内容を変えるキッカケに?

「そうですね。以前の基礎研究では“生き物の理解”という意味で世の中に役立っていましたが、改組で学部に“産業”と付いたことで、産業にかかわる研究の一環として、また、コオロギで直接的に社会のお役に立つような応用研究をスタートさせました。それが、きたる食糧問題に対応してコオロギを実際に人の食料として飼育し、動物性のたんぱく源にしていこうという研究です」

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