DXに強い人材になるには?東大・松尾豊教授に聞く、“アナログ体質”を変える方法
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業ではリモートワークをはじめ、勤怠や会計管理、マーケティングなどの生産性を高めるためのDX化が急速に進んでいます。
一方で、世間では「DX」と盛んに叫ばれている昨今、「正直、DXってなんのことかよくわからない」「自分の仕事や会社にどんな影響があるの?」と疑問視する人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、東京大学大学院教授で日本ディープラーニング協会理事長松尾豊さん(@ymatsuo)に、20~30代の会社員が知っておくべきDXの基本情報や「2025年の壁」、これからのDX化に欠かせないディープラーニングについて詳しく聞きました。
そもそも「DX」って何?
そもそも「DX」(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ということ。DXはデジタイゼーションとデジタライゼーションの2つの側面に分けられ、前者は「アナログをデジタル化すること」を指し、後者は「デジタル化したものを業務効率化や付加価値向上に活用すること」を指します。
松尾さんによると、日本ではDX化というとまずデジタイゼーションしてからデジタライゼーションするという流れが多いそうです。
「例えばタクシーの配車。もともとは客、オペレーター、ドライバー間の連絡は全て人力で行われていました。それが日本ではAIによる配車の自動化により、データ化、効率化してから新モデルを作る。しかし、海外ではいきなりUberのような新しいモデルを作りました。
小売の場合も、日本は紙をデータ化して、顧客データを個別化するのが一般的。しかし海外はAmazon GOのようにアプリや商品・顔認識等の技術を活用していきなり新モデルの店舗を実現。つまり、DXが実現するのは、今ある業務の改善ではなく新モデルです。これが国や企業の競争力に大きく繋がっていくのです」
どの分野でも必要不可欠に
DXがさまざまな分野で盛り上がっているのはただの流行ではなく、そうしないと企業の競争力が落ちてしまうから。そのため松尾さんは、「DXに関する知識やスキルはこれからの時代にリーダーになる人にとってはマスト」だと断言します。
「いまやデジタルやAIの技術は、業界を問わず、どの分野であろうと企業の競争力の源泉に直結します。これからはデジタルの知識やスキルはリーダーになる上でのマストですし、その傾向はこの先もずっと強まっていくと思います。
また、マクロで長期的な変化で言えば、これからの時代にDXに関する知識や情報がないことで、社内での昇進や活躍、他業種への転職も徐々に厳しくなっていくでしょう」