住宅ローン「フラット35」不正利用の実態。「かぼちゃの馬車」との意外な関係
持ち家取得を支援するため、有利な条件で融資が受けられる住宅ローンの「フラット35」。自身の居住用不動産を購入するのが大前提ですが、なかには投資目的の不動産購入に利用されるケースがあり、それらは「なんちゃって住宅ローン」と呼ばれています。
なんちゃって住宅ローンがバレるリスクやペナルティについて、「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」(全宅ツイ・@kuso_bukken)に話を聞きました。
「かぼちゃの馬車」との意外な関係
「独身の若者で低年収だとローン審査NGのケースが増えていて、特にマンションは厳しいですね」。なんちゃっての影響で厳しくなった住宅ローンの現状を語るのは、不動産仲介に従事するかうぴー氏(@pakopakoazarash)です。
「『結婚予定で購入します』と言えば通るようですが、銀行側は住民票に女性の名前が入るまでチェックするらしく、相当警戒してますね」
ここまでローン審査が厳格化したのはシェアハウス「かぼちゃの馬車」事件の影響があるといいます。
「スルガ銀行が一連の不祥事で融資を止めた結果、これまでスルガ銀行をメインにしていた三為(第三者のための取引のこと。転売)業者が、住宅ローン専門の金融機関ARUHI(アルヒ)に目をつけて、得意のエビデンス偽造を連発してバンバン売ったことが原因です」(かうぴー)
不動産ブローカーのDJあかい氏(@DJakai2)も若者のローン審査の厳しさに同意します。
「アルヒのフラットに限らず一般の銀行でも住宅ローンの審査が非常に厳しくなっています。大企業や公務員といった堅い勤め先でも、ローンが減額されたり、『お前らも“なんちゃって”一味やろ』みたいな疑いの目を審査部から向けられたりします。とくに単身者や狭小間取には冬の時代です」
「なんちゃって」がバレたらどうなる?
それでは、現在のように審査が厳しくなる前に「なんちゃって住宅ローン」を利用してしまった人が今後バレるケースはあるのでしょうか。前出のかうぴー氏は「聞いた話なんですけど」と前置きしたうえで次のように語ります。
「銀行から定期的に届く郵送物を、なんちゃっての人は、あらかじめ入居者に『届いたら転送してください』とお願いするのが通例なんですが、入居者が出張や旅行で長期不在だと、銀行に郵送物が戻るんですよね。そこで『ん? 怪しいな』となって調査されることはあるみたいです。立派な契約違反ですからバレれば、残債の一括返済を求められます」
郵便物以外でバレるパターンもあると指摘するのがDJあかい氏です。
「ローンの滞納でバレるケースはありますね。逆に言えばきちんと返済してれば、あまり取沙汰されないというか。ただ入居者の家賃を入金してくれるサブリース業者が飛んだら即死なので、リスクがあると認識するべきでしょう」
ローンを返済する35年間で、何のトラブルも起きないとは断言できず、不正がバレる可能性は常に存在するようです。