うつ病だった“元銀座No.1ホステス”が明かす出世の真実「理想の上司はいない」
理想の上司はいないという残念な真実
さらに、水希さんが強調するのは、「どんな会社にも理想の上司は存在しない」ということ。
「上司たちはたしかにあなた方よりも仕事については経験年数という意味ではベテランです。でも、『リーダーシップをどうやって発揮するのか』『部下をどうやって育てていくか』という教育は受けていません。つまり、上司自体が、新人教育の専門家ではないということです。そこに理想の上司の影を追い求めるのは、難しい話です。年功序列の会社組織の中で、“なんとなく”仕事をして、“なんとなく”出世して、“なんとなく”上司というポジションについた。そんな人が大半なのです」
また、企業の論理でいうと「よい上司」は、高い成果を上げる人であるとも指摘。
「高い成果を上げる上司ほど、実は部下に売り上げノルマを強要し、追い詰めるパワハラ傾向だったりします。上司がパワハラ気味であると、部下たちの間で『怒られたくない』『責められたくない』という気持ちが働き、必死に結果を出そうとします。
リーダーに正しいリーダーシップがなくても、部下たちが頑張れば、チームの成果は上がります。その結果、パワハラが横行し、決してリーダーとして理想的な人物とは言えないものの、チームの業績はよくなり、会社からは『よいリーダー』としての評価を受けます。この意味でもリーダーシップよりもフォロワーシップを高めるほうが生産性に影響するという意味がわかるのではないでしょうか」
上司からの評価が低くても問題ない
なかには「上司のえこひいきがひどい」「好き嫌いが激しすぎる」といった事情で、辛い思いをしている人も少なくないはず。その場合の最大の問題は「上司からの評価が悪い=自分の能力が低いのではないか」と思い込んでしまうことだと、水希さんは指摘します。
「社内の評価が低い理由は、必ずしもあなただけのせいではありません。問題は、部下の評価が上司の主観で決まってしまう、会社の評価システムの欠陥にあります。主観による評価は、非常に判断基準があいまいです。さらに、人には相性があります。そのなかでは、どうしても上司も人間なので、上司の主観による好き嫌いや相性のよしあしが、評価に影響を与えることがあります」
だからこそ、「上司に気に入られない自分が悪い」とは思う必要は一切ないとのこと。
「どんなスーパーコミュニケーターであっても、相性が悪ければ相手とうまくやれないことは往々にして起こりえます。認知バイアスの一種に『ダニング・クルーガー効果』と呼ばれるものがあります。この心理効果に基づくと、能力がない人ほど自分に対する評価が高くなり、他人はバカだと思い込みがちです。この心理バイアスを持っていると、自分も他人も適正に評価できなくなってしまうのです」
能力がないのに威張っている上司は、どの会社にも必ず存在するため、それにいちいち傷つく必要はないし、取り合う必要もないのだとか。また、また、上司から嫌われるのも困ったものですが、好かれすぎても困りものです。
「あまりにも上司が自分をかわいがりすぎると、周囲から『あの子はたくさん仕事を任されているけれども、どうせ実力じゃないんじゃないか』『評価が高いのは、えこひいきされているからだ』という目で見られてしまうこともあります。自分の能力を超えた仕事を任されて、負担になることもありますから」