ほぼ0円の物件はお買い得か、プロがシビアに評価「ババを引く恐れも」
総務省によれば全国の空き家は800万戸超。今、日本中には激安物件が溢れている。そんな市場価値ほぼ0円となった家を“買って”住居に、セカンドハウスに、投資に、ビジネスに転用しようとする人も。しかし、このような激安物件は、外装や内装が痛んで修繕が必要であったり、多額の不動産所得税や、贈与税がかかるケースもある。
果たしてほぼ0円物件は「買い」なのか。購入前に注意したいポイントとはどのようなものだろうか。
0円物件が溢れる時代が来ている
少子高齢化が進み、都市への一極集中が進む日本において、深刻化している空き家問題。それに伴い、今後“ほぼ0円”物件もまた、ますます増え続けていくとみられている。
だが、住宅コンサルタントの寺岡孝氏は、そうした物件に「ほぼ0円だから」と安易に飛びつくと「ババを引く恐れがある」と警鐘を鳴らす。
「法定耐用年数によって決まる減価償却費から見れば、木造建築は22年でゼロとなり、その価値がなくなると言えます。したがって、中古物件の価格を左右するのはあくまで土地の評価であり、それがタダ同然なのは、その土地自体に価値も需要もないからです。
例えば公共交通網から隔絶された山間地に、20~30年定住することを考えると圧倒的に不便。年を取って車が運転できなくなれば、自力で買い物にも行けず、病院にも通えません」
人生100年時代。年を重ねるにつれてライフスタイルに変化が生じ、“終のすみか”と決めた激安物件に嫌気が差す可能性もありうるのだ。
「そうなると結局は都心に戻り、住まなくなった家の固定資産税を延々と払い続けるハメになります。老後の生活をリアルに考えると、定住が難しく、いざというときに買い手がつかない物件の購入には慎重にならざるを得ないでしょうね」
ほぼ0円物件はこういう人にオススメ
では、激安物件とうまく付き合う方法はないものだろうか?
「今後はリモートワークの普及に伴い、都心の家と田舎の別宅を必要に応じて行き来する、2拠点生活を送る人が増えていくと考えられます。メインの拠点は都会に置きつつ、田舎の0円物件をリフォームして、趣味に没頭する場所として使うのはアリでしょう。
とはいえ、固定資産税や維持管理費などを考慮すると、居住コストはそれなりにかかるので、収入の高い人におすすめのライフスタイルと言えるでしょうね」
定住には不安が多いが、別荘使いならアリ。ほぼ0円物件に対するプロの評価はシビアだ。