平均年収1840万円のキーエンスを辞めて「大食いYouTuber」になった理由
プロではない社会人芸人のためのお笑い大会「わらリーマン」主催、YouTuber限定のシェアハウス「レイワ荘」のメンバーとして活動するオックン氏(27)。現在は主にYouTuberとして生計を立てていますが、かつては電子精密機器メーカー・キーエンスの営業マンでした。
キーエンスといえば日本企業の中でも特に給与が高いことで知られ、従業員の平均年収は1840万円(2020年3月期、平均年齢35.6歳)。そんな恵まれた環境を捨ててまでYouTuberに転身するとは、どのような理由があったのでしょうか。
就職は「稼ぐスキル」身に付けるため
――現在はおもにどのような活動を?
オックン:収入というところだとYouTubeチャンネルの運営による広告収益が大きいのですが、僕のなかでは社会人のためのお笑いライブ「わらリーマン」の主催を活動のメインの軸に据えています。
――もともとお笑い好きだったんですか?
オックン:10代からお笑い芸人になりたいと思っていて、大学生の頃はお笑いサークルに所属していました。大学2年生からプロの養成所に入り、翌年にはワタナベエンターテイメント所属の芸人としてデビューしました。ちょうどフワちゃんが同期にあたります。
――前職のキーエンスで働くきっかけは何だったのでしょうか。
オックン:大学4年の頃、自分は芸人で食べていけないと自覚するようになるんですよね。プロの芸人として生きる夢を諦めてから就職活動を始めました。その結果、内定をもらえたのがキーエンスの営業職でした。でも、就職とはいえ一生同じ会社で働き続けることは考えられなかったので、就職先はスキルを学べて将来自分の活動に活かせるところで志望していました。
大企業って何がすごいかといえば、こうすれば稼げるというような仕組みを常に追求しているんですよね。営業が強い会社で大企業であればお金を稼ぐ方法論というかスキルが身につくのかなと思いました。
キーエンス時代からお笑い活動
――キーエンスに就職したあとも現在の活動を見越していたんですね。
オックン:企業に就職しても完全にお笑いの道を捨てるということが考えられなかったんですよ。それもあって、キーエンスの頃から「わらリーマン」の活動を始めていました。
最初は仕事と両立しながらやってこれたんですけど、大きなライブの準備を進めていた時期に会社から人事異動を言い渡されたんですよね。関東圏外に飛ばされてしまうことなって、間違いなく活動に支障が出ると思ったので退職する道を選びました。
――キーエンスといえば、日本企業の平均年収ランキングでは常に上位にあります。キーエンス時代と現在の収入の変動はどのように捉えていますか。
オックン:キーエンス時代の月収は手取り40万円、年収でいうと賞与とかも含めて大体1000万円はもらっていましたね。ざっくり現在の収入をいうと、YouTubeの広告収益に加えて、他のYouTuberの手伝いも合わせて月25万~30万円くらいです。「わらリーマン」の儲けはほぼゼロで、次のライブの設備とか大きな大会に投資しておくような状態です。
キーエンス時代は“ザ・営業マン”という生活を送っていて、朝6時に起床して、7時から7時半くらいに出社、外回りと翌日の準備を終えて家に帰ってくるのは21時くらい。仕事は充実していたけれど、自分で自由に使える時間は土日くらいという環境でした。収入の変動についてどう捉えているかといえば「お金がなくても意外と人って生きていけるんだ」とついこの間までは思っていましたね。