「ジャケット」と「スーツの上着」、着分け方をまちがえない鉄則
サラリーマンの戦闘服「ビジネススーツ」。最近はテレワークも増え、スーツより「ジャケット」の気崩したカジュアルなスタイルもビジネスシーンの定番になりつつあります。しかし、スーツより、どう選んでよいのか難しいという声もあるのがジャケットです。
今回は既製品、オーダースーツとスーツ販売20年以上、7万人以上のコーディネートの経験がある、オンラインオーダースーツ専門ブランド「アステッドコーキン」のブランドマネージャーである私が「ジャケットとスーツの上着の違い」から、選ぶポイントまでをお伝えします。
ジャケットはスーツの上着とは別物
洋服好きの人は知っていると思いますが、「スーツのズボンがないものがジャケット」ではありません。そもそも、ジャケットとスーツの上着では“仕立て方”が違います。スーツは異なる何種類かの「芯地」を合わせて、ある程度しっかりとしたフォルムを形成することが必要です。
近年のファッションの流れに合わせ柔らかく、軽い仕上がりにするためにソフトなものを使用したり、一部省いたりする傾向にありますが、スーツに使われる生地は比較的、細番手(糸が細い)でデリケートなものが多いため、綺麗な縫い合わせを求めるためにも芯地は欠かせません。
一方でジャケットは、芯地がないものも多くあります。ジャケットの特徴としては生地がバラエティーに富んでいることも1つです。ジャケットの生地だからこそ芯地を抜くことができ、体になじみやすいやわらかいフォルムになります。
芯地がないから遊び心をプラスできる
ジャケットの生地は色、柄だけではなく織り目の大きさや凹凸感と言った表情豊かなものが多く、生地のメリットを最大限に活かした仕立て方が大事なポイントです。
肩パットや芯地、裏地などの副資材を省くことで、身体に馴染みやすいソフトな着心地と肩肘張らないリラックス感のあるフォルムに仕上がります。アウトポケットやカジュアルなディテールなどとも相性が良く、遊び心をプラスしたデザインを楽しめることもメリットのひとつです。
「今日は少し気崩したオフィスカジュアルに」と言って、間違っても“パリッとした”ビジネススーツの上着をジャケット代わりに……はNGです。