変わる喫煙のルール。吸えない場所が増えても「喫煙店」が残る事情
2020年最大の出来事といえば、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミック以外にないだろう。各種興行は軒並み延期になり、飲食店や観光・遊興といった産業は今なお大打撃をこうむっている。
しかし、他にも社会変化はいくつかあった。そのうちのひとつが禁煙化の進展である。2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法、東京都での受動喫煙防止条例によって、町から「タバコを吸える場所」が激減したのである。
ほとんどの飲食店が禁煙に
「不要不急の外出自粛要請」を受けて素直に出控えをした人が、今の繁華街を訪れたら驚くだろう。2020年4月以来、タバコが吸える場所はごくわずかとなった。
特に禁煙化が進んだのがファミリーレストランである。大手外食チェーンでは喫煙席を設けない店舗が漸増(ぜんぞう)していたが、いよいよ喫煙席・喫煙所もなくなった。たとえばすかいらーくグループでは、全店で店舗・敷地内において全面禁煙を謳っている。
喫煙者である筆者の場合、深夜帯にファミレスの喫煙席でタバコを吸いながら仕事をすることもあったのだが、今では徒歩圏内にその目的で使える店は1軒もない。バカみたいだけれど、「喫煙席がなくなるとは知っていたが、本当になくなるとは思わなかった」というのが率直な感想である。
禁煙で顧客離れが進んだお店も
例外的に喫煙スペースの設置率が高いのが、「安楽亭」などの焼肉チェーンである。元来の換気容量に優れる業態だけに、喫煙スペースを設けるのが容易だったのだろう。とはいえ喫煙スペースはさほど広くないし、「3密」になりがちで、特にコロナウイルスが拡がっている昨今はなるべく避けたい場所である。
店舗の禁煙化は、ファミリー層から「いろんなお店に入りやすくなった」と歓迎されるいっぽう、サラリーマンを主な客層とする「串カツ田中」などは顧客離れが進んでいるという報道もある。
「禁煙化」の功罪が表出するのはコロナ禍が去った後のことだろうが、飲食店の経営への影響が注視される。