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バイデン次期大統領の対韓政策を予想。冷え込んだ関係は改善されるか

ビジネス

日韓関係の改善を要求するかも?

バイデン

写真はバイデン氏の公式ツイッターより

 韓国に日韓関係の改善を求める可能性も否めない。これは日本にも要求する可能性も高いが、オバマ政権下の2012年に発表された「第3次アーミテージレポート」の中でもこの件に関する言及があった。

 オバマ政権同様、バイデン政権が具体的に求めるのは“安全保障における日韓協力”であり、日韓間の政治や歴史に関する問題に介入することはないだろう。とはいえ文大統領がバイデン政権の要求に素直に応じる可能性は低い

 バイデン政権で大きく変化するのは北朝鮮への対応だろう。2017年に米国と北朝鮮との間で緊張が走ったが、それ以降、トランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と3回も会談し、北朝鮮の指導者と会った最初の米国大統領となった

現状、米朝トップ会談の実現は難しい

 現在、米朝交渉は停滞しているが、金正恩氏にとって「会ってくれる米国大統領」の存在は大きかった。だが、バイデン氏はオバマ政権の戦略的忍耐を継承するとみられ、北朝鮮が核・ミサイルで進展を見せない限り、トップ会談の実現は難しいはずだ。

 よって、バイデン政権になると、北朝鮮が再び瀬戸際外交(譲歩を引き出す狙いで、あえて緊張を高める挑発的な外交)や核実験、ミサイル発射などを仕掛けてくる恐れがある。

 文大統領の基本スタンスは北への宥和政策であるので、戦略的忍耐を継承するバイデン氏とどこまで北朝鮮政策で共同歩調を取れるかは未知数。トランプ政権で冷え込んだ米韓関係は、バイデン政権になっても摩擦が生じ、改善する可能性は低いと思われる。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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