消毒液が1か月で在庫切れに…「感染再拡大に備える」オフィス備品メーカーの覚悟
猛威を奮った新型コロナウィルス感染症が、冬が本格化するにつれて再び拡大する傾向が強まっている。そのなかで、静かに変化を迎えつつあるのが、オフィスや商業施設の備品だ。
混乱と反省を踏まえ、各メーカーはすでに新たな取り組みを始めている。年商約101億円の清掃用品、オフィス備品メーカーの株式会社テラモトの寺本久憲専務に、今夏の振り返りとウィズコロナの時代への備えについて聞いた。
コロナで変化しつつある「オフィス備品」
コロナの流行が本格化し始めると、カウンターパネルや消毒液、消毒スタンド、ソーシャルディスタンスを促すパーテーションなど、感染症に関わる商品を取り扱っている同社にも大きな影響が出始めた。
販売している消毒液についての問い合わせが殺到し、ホームページのアクセス数は例年同月比の136倍になった。消毒液は1か月で在庫がなくなり、いまだに顧客の要望に応えられるほどの安定した在庫にはなっておらず、未だにギリギリの調整が続いているという。
「消毒液のほかにも、ソーシャル・ディスタンス啓発用の看板や消毒液を設置するためのスタンドに関する問い合わせが急増しました。大学や公共施設、オフィスビルの管理者など、特に事業者が中心でしたね。お客様も急な対応を迫られており、『どのような備品を揃えればいいのか』というご相談も多く寄せられました」
拭く・掃く・磨くが健康につながる
コロナが大流行した時期は情報が氾濫しており、本来は予防効果がないものまで「コロナウィルス感染予防に効く」と誇大広告されるなどの混乱が生じた。
同社ではソーシャル・ディスタンスに関する正しい情報を発信しようと、自社のメディアや公式YouTubeチャンネルで消毒液の配置方法や使い方などを啓発している。
「例えば、消毒液の効果は事前に手洗いして初めて発揮されるとか、消毒液は手洗いとは別物という認識は、当時はほとんど浸透していませんでした。また、殺菌・消毒グッズに意識をとらわれる人が多かった印象も受けました。もちろんそれらも大切ですが、拭く・掃く・磨くといった身の回りを清潔にすることが健康に繋がるということを発信しています」