「35歳で転職経験ゼロはヤバい」コロナ下で逆転キャリアを築くには
本当は「コロナなんてどうでもいい?」
――就職先の企業を選ぶコツはありますか?
土井:コロナ禍で人材を積極募集し、広告を打ちまくっているような会社はオススメ。不況のときに仕込む会社は伸びます。また、数か月、数年後にコロナショックが終わっても、つぶれていない会社は「ビジネスが止まっても耐えられる構造をもっている」といえます。それは企業の流動比率を見れば誰でもわかることなので、ひとつの指標になるでしょう。
ただ、一方で私は斜陽な産業や不人気企業に就職するのもありだと思っていて、コロナショックで甚大な被害を受けた旅行産業なども検討する価値はあります。会社は小さくなっていくでしょうが、「残ったもの」に価値があれば企業は再生しますから。それを見抜き、将来の姿を想像できるかがポイントです。
――斜陽になった産業が再生するには何が必要だと思いますか?
土井:「コロナ前のやり方」を完全に捨てて、ウィズコロナを前提とした新しいビジネスを開発できるかどうかでしょう。コロナ前に戻ることはないわけで、制約の中でやっていくしかないんですから。ビジネスの基本は「お客さんを満足させられるかどうか」なので、言ってしまえばコロナなんてどうでもいいんです。アイデアひとつでどうにでもなると思っていますから。
最近見かけた、星野リゾートの「ホテルの一室を居酒屋風にし、気心の知れた仲間と個室で飲んでそのまま寝られる宿泊プラン」がアイデアを生かしたいい例でしょう。昔のやり方に固執せず、「コロナ禍ではお客さんの願いを本当に満たせないのか」をよく考え、顧客のニーズを満たすためにビジネスを変えていく必要があるでしょうね。
若いうちから「死」を意識してバクチを打つ
――20代の中には「落ちこぼれ」の自覚がある人もいると思います。彼らが逆転するには、何を意識するべきでしょうか。
土井:変動が激しい時代なので、逆にチャンスはたくさん転がっています。それを生かせるかどうかは、「頭を使いつつどれだけリスクを背負えるか」次第。
もし斬新なアイデアで顧客のニーズを満たせそうなベンチャー企業を見つけたら、ストックオプションをもらって飛び込んでみるべきです。私自身、アマゾン・ジャパンではそうしましたから。リスクはありますよ。ただ、どうせ人間は死にます。だからこそ、若いうちからあえて「死」を意識する覚悟でバクチを打って、大当たりを狙うべきじゃないかと。
その点、落ちこぼれは失うものが少ないので、リスクを背負いやすいのも事実。自分の力ではどうにもできないなら、「優秀だと思う他人を信じて付いていく」という賭け方もアリです。ただ、落ちこぼれなのにリスクを背負えないなら、そのまま一生変われないでしょうね。