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手取り12万円からアマゾンジャパン社員に。逆境下でのキャリアの築き方

ビジネス

逆境だらけのアマゾンは最高だった

――アマゾンジャパンという会社はどうでしたか?

土井:面白い会社で、何より自分に合っているなと思いました。アマゾンジャパンでは残業が全く評価されず、「仕事が終わったら帰っていい」と言われたんです。言葉に裏のない会社だとは感じていたので、「本当に帰っていいんだな」と確信しました。

 あと、当時の「Amazon」は本を売るサイトだったのに、日本の出版業界からとにかく嫌われていたのも気に入りました。私はいやがらせや逆境が大好きだったので、「この人たち全員にAmazonが好きと言わせてやる」と闘志に火が付いたんです。加えてビジネス書の評価が低い時代だったので「これを売って評価を上げてやろう」と。

――もともとビジネス書が大好きで、今でもメルマガを中心にビジネス書の書評を仕事にしています。どういうキッカケでビジネス書を読み始めたのですか?

土井:中学校を出たら父の会社を継ぐつもりだったので、周りよりずっと早くからビジネス書を読んでいました。昔からなんとなく「ビジネス」という響きが好きで、そこから入ったというのもあります。

 あと、ビジネス書の「アイデアひとつで人生逆転できる」という考え方が面白いと感じ、ノウハウを学ばないと損だと思って読みまくりました。

成功には「20代の頑張り」が欠かせない

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――それがアマゾンジャパンで仕事になり、今の会社設立にもつながっているのですね。

土井:アマゾンジャパンのころは、ビジネス書を読むことが仕事でしたから「金をもらいながらビジネス書を読むって何と素晴らしいんだ」と思っていました。給料をもらって自己投資ができていると感じたんです。

 そこから「金をもらってビジネス書を読む仕事をしよう」と思い、今に至ります。会社の立ち上げは「自分の力でもビジネス書をベストセラーにできるんじゃないか」と考えたことも大きかったです。

――土井さんは失敗を経験しつつも異業種で成功を収め、好きなことを仕事にしています。結局、成功の原因は何だと分析しますか?

土井:私は、「20代のうちに頑張ったこと」ではないかと思っています。例えば、私は大学時代にひたすらタイピングの練習をしたことで、考えながら1000字の文章を5分くらいで打てるようになりました。この力は、今でも自分の生産性を上げるのに役立っています。

 なんでも効率化できる時代なので、雑務を軽視する若い人も多いかもしれません。「タイピングなんてできなくても、音声入力で十分」というように。ただ、20代の頑張りはタイピング練習に似ていて、「若いうちに雑務も頑張らないと生産性は上がらない」と思います。

 どんな分野でも無駄なことはなくならないと思っているので、下積みで基礎力を伸ばすことは欠かせません。一度、身につければずっと優位に立てるので、若いうちは無駄だと思っても基礎力強化に明け暮れ、逆に歳をとったら自分のやり方を曲げてでも効率化していくべきでしょう。

<TEXT/齊藤颯人>

エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。ゲーム会社、編集者・取材記者・ライターを経て、 Amazon.co.jp立ち上げに参画。2004年、30歳で独立。 多くの著者の出版プロデュースに携わる。日刊のメルマガ 「ビジネスブックマラソン」は読者数5万4000人超

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