東京メトロ03系がなぜ長野に?長野電鉄3000系デビューを追う
長野電鉄初の半自動ボタンを採用
3000系で目新しいのは、1号車の1番ドア、2号車の2番ドア、3号車の3番ドアに限り、半自動ボタンを設置したこと。冷暖房使用時、車内保温維持の観点から、地下駅の長野を除く始発駅、列車の行き違い待ちなど停車時間が長い駅での使用を前提としている。同社によると、駅停車後、すべての乗降用ドアを開けて客扱いをしたのち、半自動ドアに切り替え、乗降は各車両1か所に限定するという。
また、半自動ドアは既存の3500系、3600系、8500系にも各車両の両側1か所に設置しているという。ただし、上記は手で開け閉めを行なう。乗降用ドアは意外と重く、力のない人にとっては開閉しにくい難点がある。半自動ドアボタンの設置により、乗客の負担が低減された。
残念ながら新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、全国的に半自動ドアの使用が休止されている。3000系はデビュー後、1度も使用されておらず、ベールを脱ぐのはかなり先になりそうだ。
このほか、室内灯のLED化。寒冷地を走行するため、各乗降用ドアにレールヒーターを設置し、凍結による車両不具合を防止している。
今だけの日比谷線第1・2世代車両の共演
取材時、3000系は長野―須坂・信州中野間、3500系は須坂・信州中野―湯田中間の各駅停車(3600系は未確認)に運用され、日比谷線第1・2世代車両の乗り継ぎができた。約30年前と同様に“隔世の感”がよみがえったのだ。
当時と異なるのは、第1世代車両にも冷房機が搭載されたことだ。冷房能力に差があるものの、それなりに過ごせるのは大きい。
同社では、はがきサイズの「長電フリー乗車券」を長野駅や東京都千代田区の書泉グランデ6階などで発売している。1日用は大人2,070円、小児1,040円、2日用は大人2,580円、小児1,290円で、特急にも乗車できる。また、長野駅では、はがきサイズの「日本一大きな入場券」(170円)も健在だ。長野で1・2泊して、長野線の旅を満喫するのはいかがだろうか。