元ANAパイロットの人事課長に聞く「異業種転職を成功させるコツ」
コロナ禍を契機に自身のキャリアを振り返ってみて、転職を視野に入れて動きはじめている人も多いはず。場合によっては、否応なく転職せざるを得ない状況に陥っている人もいるだろう。
パイロットから、キャリアアドバイザー、ベンチャー企業の人事職を経て、現在では老舗の皮革商品製造メーカーの人事課長・西島悠蔵さん(@NishijimaYuzo)は、転職活動をポジティブに捉えている。
さまざな業界での転職経験で変化に対応しながらも、市場価値を上げ続けている西島さんに、自身のキャリアについて語ってもらった。
ANAパイロットからの転職
――憧れる職業のイメージが強いパイロットを辞めて、転職しようと思ったきっかけは何でしたか?
西島悠蔵(以下、西島):前提として「大手に行きたい」「分かりやすい成功がほしい」って気持ちが就活時から強かったんです。そんな理由で就職をしたので、入社した後も、働く理由は「女の子にモテるため」「年収のため」と言い切っていました(笑)。
だから「何でパイロットをやっているのか」同期と語り合ったとき、彼らが「たとえ年収が200万〜300万円だったとしても今の仕事を続けたい」と熱く語っているのを見て、「あ、ここじゃないのかな」と考えるようになっていました。同期は小さい頃からパイロットになりたいのに、僕はそこまで思い入れが持てなかったんです……。
――なるほど、当初から周りとのギャップを感じていたんですね。
西島:そうですね。仕事は楽しかったし、同期や人にも恵まれました。ただ、周りとの温度差はどうしても拭いきれなかったんです。かたや小さい頃からのあこがれの職業。かたや大手に行きたいと思っていた学生がたまたま受かった仕事。ココには大きな熱量の差がありました。自覚もあって、飛行機のことを勉強するよりもビジネスを学ぶほうが楽しかったんです(笑)。
会社からもパイロットに向いてないということは何度も言われていて、最終的に「地上に降りるか、会社を辞めるか」という話になりました。そこで自分を押し殺してまで続けたいとは思えなかったので転職を視野に入れて動きはじめました。
転職して初めて気づいた幸せのカタチ
――ご自身のキャリアを歩んでゆくなかで、心境や価値観が変化されたことは何かありますでしょうか?
西島:転職活動をしている時、どこに行っても「空を飛べるのはすごいし面白い。でも、何ができるの?」と聞かれました。大手にエントリーシートを出しても軒並み門前払い。ただ、リクルートキャリアだけが唯一ちゃんと向き合ってくれて、スキルは全くなかったけど、ポテンシャルを評価してくれました。そして「何もできないんだから努力しろよ!」と覚悟を問われて、握手しました(笑)。
リクルートキャリアに転職した後は、キャリアドバイザーを2年、人事を3年ほど経験しました。最初に担当していたのはコンサルティングファーム。比較的年収も高い方々の面談や転職斡旋をしていたのですが「年収を下げてでもいいから、家族との時間が欲しい」という方が結構な割合でいたのが驚きでした。「お金だけじゃなく、いろいろな幸せのカタチがあるんだな」って初めて気づくことができましたね。