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UberEats配達員は、意外と高年収?急伸するフードデリバリーを分析

ビジネス

ECと似て非なる食のマッチング

 UberEats、出前館とも、ECサイトと同じくサービス上に出店者から商材を登録してもらい、ネットやアプリでお店(フード)と消費者をマッチングし、成約したら決済代行する仕組み。出前館は従来ここまでの機能でしたが、Uberが日本に進出した2016年からUberモデルすなわち自社配達員によるピックアップ&デリバリー(ECでいう物流)に参入し、拡大を図っています。

 出店費用はUberが無料、出前館は2万円です。お店から30~35%と言われる手数料、注文主からフード料金・配達料を得て、手数料を相殺したフード料金がお店に入金されます。メニューやフード料金はお店が手数料や容器代などを考慮し、サイトに登録する点はECとも共通ですが、ECと違い、ネット上の営業時間も店舗で設定できます。

 お店へのオーダー通知や課金システム、入金サイクルはそれぞれ異なるため、多数のサービスを使えばチャネルと見込客は増える一方、その分のサイト更新、オペレーションや経理が面倒になる点もECと似ています。

 UberEatsにせよ、出前館その他のサービスにせよ、ECと決定的に違うのは、食という商材は作り置きができず、短時間に運ばねばならないこと。そして多くの飲食店はリアル店舗でのフード&サービス提供がコア事業で、サブ商材としてデリバリーに対応している点です(デニーズがデリバリー専用厨房を設けるなどの動きはありますが)。

 フードデリバリーは、リアル店舗のブランドを守りながらラストワンマイルを担うパートナーでなければなりません。

人気ハンバーガー店経営者に聞いた

ハンバーガー

※イメージです(以下同じ)

 緊急事態宣言解除後も、蒸発したインバウンド消費の穴埋めや、家飲み・Zoom飲みという新たな競合との闘いにさらされる飲食店にとって、フードデリバリーは救世主といえるのでしょうか。筆者の知人で、UberEatsドライバー経験者かつ、複数のデリバリーサービスを使いこなす人気ハンバーガー店経営者に聞いてみました。

「来客の有無に関わらず家賃やバイト代といった固定費はかかるため、受注増のチャンスはもちろんありがたい話。既存顧客のネットオーダー以外に、来店経験のないファンも獲得できました。サービスごとに異なるオーダー通知(FAXも!)や入金手順は、やや複雑ながら、基本お金の流れは運営会社から店舗への一方通行なので、事務処理負担は売上に見合います」

 他方、最高の状態で料理を供したいお店の気持ちが直接届けられない、ときにデリバリー過程でうまく届かなくなる、万一トラブルが起きた際も直接お詫びや仕切り直しができないといったデリバリーならではの新たな課題も浮上。

「どのサービスにせよどの過程で生じたトラブルにせよ、注文主の不満はほぼお店へ向かうため、リスクマネジメント対象の店舗外への拡大を迫られました。例えば、自らの経験をふまえピックアップ時配達バッグの留め具が仕様通りに閉じられているか。

 なぜそれが必要なのかといった『美味しく届けるコツ』や『この一皿に賭けるお店の想い』などを伝えて気持ちよく運んでもらう努力です。UberEatsなどは注文主・配達員・店舗相互の匿名評価システムがありますが、注文主やお店が優良配達員を指定する機能はなく、人間同士でそこをカバーするということなのでしょう」

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