「20代・ゆとり世代」を上司はどう見ているか。出世願望がない?
あなたの職場にもこんな困った人はいませんか? 自分のことしか考えない協調性ゼロの同僚、プライドだけ高くて仕事しないオヤジ。いつも上から目線のイヤミな奴、権利ばかり主張して義務を果たさない人などなど……。
働き方改革や新型コロナショックを契機として、我々の働く環境が大きく変ろうしているにもかかわらず、程度の差はあるものの多くの職場ではこのような厄介な人たちが生息しています。
前々回の「50代・バブル世代との付き合い方」、前回「30代ロスジェネ世代との付き合い方」の記事に引き続き、今回も、ある中堅メーカー営業3課のメンバーとともに、「ゆとり世代」の特徴と、付き合い方を見ていきましょう。
いちいちゆとり世代と言わないで
「山本君、勤務時間中のメールは仕事のやり取りなんだから、こんな、(>_<)<(_ _)> 顔文字使うのやめなよ」
「すみません。社内メールだし、文章だけだと、気持ちが伝わりずらいの思ったので……」
と言い訳交じりに謝った山本君でしたが、すかさず渡辺さんから、
「君はもう中堅なんだからしっかりしてよね。ほんと、ゆとり世代だよなあ~」といつものひと言があります。
ほどなくして、
「別に好きでゆとり世代に生まれたわけじゃないし、それって政府がやった学校教育制度の問題でしょ。僕らが悪いみたいに言われるのは心外だよな。それに“中堅”って言うけどいつまでも“ゆとり”って言わないでほしいよな」
と、1年後輩の石川さんに愚痴をこぼす山本君でした。
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個々人の生育歴はさまざまなのに「ゆとり・さとり世代」と一括りに語られることに反感を持つ気持ちはよく分かります。しかし一方で、文科省の教育方針や社会環境が大きく変わった中で育ってきたがゆえに、この後述べる傾向が見られるそうです。
今回は、読者の中でも多いと思われる「ゆとり・さとり世代」が、上の世代からどう分析されているのかを見ていきましょう。
ゆとり世代は、嫌なことを避けがち?
世代に関係なく誰だって嫌なことは避けたいものですが、ゆとり世代は、その傾向が顕著だと言われています。それは次のような過程を経てきたものと考えられています。
ゆとり教育で、世間にインパクトを与えたのは「円周率問題」でした。ゆとり世代以前は数学の円周率を3.14と習いましたが、ゆとり教育が始まった頃は、「“3”でもいい」ことになりました(現在はまた3.14に戻っています)。「3」に決まったといのではなく、「3でもいい。もっと勉強したい人は3.14で計算してもいいけど」という中途半端な授業だったのです。
面倒な計算をして間違えるより、易しいほうで計算しようという考えに至るのは必然でしょう。また、学校の給食は栄養のバランスなどを考えてメニューが作られているので、かつては残さずに食べることが原則でした。
アレルギーのある児童が考慮されるのは当然ですが、モンスターペアレントが増えてきたことも影響しているのでしょうか、「嫌いなものは食べなくてもいい」が原則になりました。親も「児童虐待」が社会問題として取り上げられるようになるにつれて、きちんと叱れない親が増えたといわれています。