コロナ前からリモートワーク歴2年の達人に聞く、つまづきポイント
オンラインはコミュニケーションを難しくする?
ここまで、オンラインコミュニケーションの難しさについて見てきた。「メールを使うようになってから、職場のコミュニケーションが減った」といった意見を聞くことがよくある。オンラインツールの出現によって、便利にはなったし、多様な働き方ができるようになった。だが、その分、コミュニケーションが減った……という指摘だ。
たしかに、そういった一面はある。「直接話したほうが手っ取り早い」「直接話せば、こんな問題は起きない」「顔と顔を合わせるからこそ、コミュニケーションと言えるんだ」という意見もあるだろう。
しかも、ここに挙げたように、オンラインコミュニケーションには難しさもある。
だが、2年間在宅勤務をしてみて、オンラインコミュニケーションが、コミュニケーション不足になる「悪の元凶」なのか……というと、そうでもないのではないか。オンラインだからこそできる関係構築もあるのではないかと思うようになってきた。
オンラインだからこそできる関係の構築
例えば、サイボウズの社員のなかには、「直接話すときは言葉数が少ないが、オンラインではおしゃべりな社員」がいる。これをお読みの方のなかにも、「電話よりも、チャットやSNSのほうが気軽に話せるし、先方の都合や時間を気にしなくてもいいから好き」という人もいるだろう。
同僚に対して「○○さん、すごいね」と、面と向かって伝えるのはなんとなく恥ずかしいが、オンラインだと、なぜか素直に言えてしまうこともある。
また、サイボウズでは在宅勤務している/していないにかかわらず、オンラインが賑やかだ。仕事に必要なノウハウや会議の議事録、上司への相談ごとやちょっとしたつぶやきなどの情報がグループウェア上でオープンになっているため、新潟にいようが、オフィスにいようが働き方は同じで情報の格差もない。
さらに、オンラインコミュニケーションはその気軽さゆえに、チャットのようなやりとりをすることで、対面よりも接触機会が多い。
米国の心理学者ロバート・ザイアンスによれば、「接触回数が多いほど親しみを感じる」そうだ。オンラインコミュニケーションは、うまく使えば接触機会を増やし、チーム内の親しみや信頼関係をつくるツールになり得るのではないか。
次回、<リモートワークで無意識に使う「ありがとう」の落とし穴>に続く。
<構成/bizSPA!取材班>