片道3時間かけて商談へ。不満な若手社員に上司がまさかの裏切り
優秀な上司の裏の顔にびっくり
通勤時間は通常、業務時間には含まれませんが、金井さんは出社してから営業に行っているから、これは通勤ではなく業務です(労働時間の定義は、「事業主の指揮監督下にある時間」)。仮に直行だとしても、「著しく長い移動時間」の場合は、労働時間と考えるのが普通です。
ですが、金井さんを含めた営業グループの皆さんは納得のいかない部分がありながらも、それが暗黙のルールだと受け入れていたようです。
「ある時、会社の同期で飲み会があり、人事部に所属する女性もいたのですが……。僕の移動時間の話題になった時、信じられない実情を聞きました」
人事部の同期社員は社内の勤怠管理を行っており、管理職を含めた勤務状況や残業代の計算を行っているとのこと。金井さんの上司の勤務状況についても当然知っているわけですが……。
「上司は都内の大口の得意先を1件だけ担当していて、早出をしたり遅くまで残業したりといったこともありません。近くで仕事を見ている僕らからすれば、毎日ほぼ定時時間内で仕事を済ませています。有能な方なので、それ自体は素晴らしいと思うのですが、同期社員に聞いた話によると、毎日1~2時間残業を付けているみたいなんです」
上司はいちおう管理職ですが、残業代の対象になる給与制度でした。
習慣だから仕方ないと思っていたら
部下には移動時間のサービス残業を強制しておきながら、自分は行っていない残業を付けていた上司。毎日1時間程度なら大したことはないように聞こえますが、1年間で考えるとそれなりの残業代になりそうですね。
「僕は新卒で入社してからずっと今の上司のもとで働いているので、信頼もしていますしサービス残業も言われた通りにやって来ました。ただ残業の話を聞いた今では、尊敬する気にはなれませんね」
若手の頃はなかなか自分の意見も言えないことも多いですよね。特にブラック気味の企業では声を上げにくい空気が蔓延しているはず。怪しいと思った時には、まずは気心の知れた同期社員に相談してみるのが良いかもしれません。
<TEXT/ホンマカズヤ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>